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第5回 糖尿病教室

当院では、糖尿病の予防・管理・治療意欲の向上などを目的として、季節ごとに ”糖尿病教室” を開催しています。

第5回目になりますが、今回は「糖尿病と肺の病気」をテーマとさせて頂き、はじめて院長よりお話させて頂きます。糖尿病の合併症といえば、血管障害・網膜症・腎症・神経障害を連想されると思います。医療現場において、実はその他にも、糖尿病に罹患していることによる不利益が生じてしまう場面が多々あります。肺の感染症・肺がん・ぜんそく・タバコ病・睡眠時無呼吸症候群などとの関連について、また注意点なども解説させて頂きたいと思います。その後、スポーツインストラクターからの運動療法を予定しています。

なお、過去(第1-4回)の糖尿病教室の内容に関しても、改めて本ホームページに内容を掲載させて頂き、復習したいと思っています。

”糖尿病教室” は、保険診療適応となります。3割負担の方で、300円程度の費用になります。当院に通院中の患者さんにはお声掛けさせて頂きますが、定期通院のない患者さんでも参加していただけますので、ご希望の方は当院までご連絡下さい(⇒059-233-0024)。定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。

●第5回 糖尿病教室
・日時:2019年4月18日(木)、12時30分~13時30分
 1時間前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:医師・管理栄養士・スポーツインストラクター 「糖尿病と肺の病気」
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応)

インスリンポンプ療法

前投稿では、持続血糖モニタリングについて説明させて頂きました。その中で少しだけ、インスリンポンプによる治療について述べましたが、今回はもう少し詳しく説明させて頂きます。糖尿病の一般論については、こちらもご参照下さい。

近年、非常に多くの種類の糖尿病治療薬が出てきていますが、これらを組み合わせても血糖コントロールが得られない場合や、そもそもインスリン分泌能が低下している1型糖尿病では、インスリン療法の適応になります。インスリン療法は、大きく分けて、下記の2種類があります。

① 頻回注射療法
(MDI:Multiple Daily Injection)
② 持続皮下インスリン注入療法 = インスリンポンプ療法
(CSII:Continuous Subcutaneous Insulin Infusion)

①頻回注射療法とは、従来通りのインスリン自己注射です。一方、②インスリンポンプ療法とは、皮下にカニューレと呼ばれる細い管を穿刺し、常時少量ずつのインスリンを注入します。24時間持続的に注入するインスリンを ”基礎インスリン”、食事に合せて追加するインスリンを “追加インスリン” といいます。これらの注入量は、患者さんそれぞれによって異なりますので、調節が必要です。

インスリンポンプ療法では、膵臓からのインスリン分泌により近いインスリン投与が可能になります。その結果、血糖コントロールの改善や安定化、低血糖の予防が期待できます。また患者さんにとっての最大のメリットは、毎日の自己注射から解放されることでしょう。それぞれの日常生活スタイルに合わせることができるようになり、生活の質の向上が期待できます。アメリカではすでに、インスリン療法の約3分の1は、インスリンポンプ療法に取って代わっています。

少し話が難しくなりますが、ここでも、持続血糖モニタリングが役立ちます。インスリンポンプ療法と組み合すことができ、これをSAP療法 (Sensor Augmented Pump) といいます。インスリンポンプに持続血糖モニタリング機能が搭載されており、リアルタイムで、インスリンポンプに血糖変動が表示されます。これを確認することで、インスリン注入量の調節が、安全かつ容易になります。また血糖変動の上限と下限を設定しておくと、その範囲を超えた場合には、音やバイブで知らせてくれます。また、下限に近付いた場合は、自動で一旦インスリンをストップしてくれます。

SAP療法は、厳格なコントロールが必要な妊娠糖尿病や、1日4~5回のインスリン注射でもコントロールが困難な1型糖尿病などに導入しています。このように、糖尿病治療薬だけでなく、医療機器の開発により、私たちは恩恵を被ることができるようになってきています。こちらも諸外国に比較すると、まだまだ日本では導入が少ないですが、患者さんのよりよい日常生活ために、積極的に導入していきたいと思います。

なお当院は、厚生労働省の施設基準を満たしており、保険診療でこれらの検査や治療を受けて頂くことが可能です。慣れたスタッフもいますので、より安心して診療を受けて頂けるかと思います。インスリンポンプ療法による管理をご希望の方は、当院までお問い合わせ下さい。

持続血糖モニタリング

今回は、少し専門的な糖尿病診療のお話になります。糖尿病の一般論については先に述べましたので、こちらをご覧下さい。それでは早速ですが、”持続血糖モニタリング” をご存知でしょうか? 糖尿病の診療において、血糖測定が重要であることは言うまでもありませんが、自己血糖測定や採血などの従来の測定方法では、その時点での値しか把握することができませんでした。近年、この欠点を補う血糖測定方法が注目されており、”連続的に” 血糖値を測定することが可能となっています。『点ではなく線で評価する時代』 と言われています。

実際には、腹部や腕に専用のセンサーを装着して、皮下の糖濃度を、1-2週間ずっと連続で測定します。厳密には、血中の糖濃度とは異なるため、若干の差が生じます。ただし、そもそも正確な血糖値を測定することが目的ではなく、あくまで血糖値の日内変動をモニタリングすることが目的であることを理解する必要があります。この持続血糖モニタリングのシステムとして、CGM (Continuous Glucose Monitoring) やFGM (Flash Glucose Monitoring) があります。

例えば、食事を摂取すると、血糖値が上がり始め、いつピークに達し、どのタイミングで下がり始めるのかなどの情報を得ることができます。もちろん血糖値のピークもわかりますし、”かくれ高血糖” と呼ばれる食後高血糖を見落とすこともありません。

最近、テレビの健康番組などで、”食事の順番” がよく取り上げられています。どういう順番で食事をすると血糖値が上昇しにくいかを検証しています。ここで、この持続血糖モニタリングが用いられています。モニタリングした状態で食事を摂取してもらえば、血糖変動を追うことができますので、実際に当院での栄養指導の際にも、得られた持続血糖モニタリング結果を用い、食事の順番なども加味した個別の指導をさせて頂いています。ちなみに、下記の順番で食べると良いとされており、急な血糖上昇を防ぐことができます。

① まず、野菜などを食事の前半で食べる。
② 続いて、肉・魚・大豆などの蛋白質を食べる。
③ 最後に、ごはん・パン・麺類などの炭水化物を食べる。

逆に、低血糖の検出にもすぐれ、その頻度や程度を把握することができます。また自覚しない低血糖や、睡眠中の低血糖を見つけることもできます。これらを確認することで、より安全で、効率のよい治療を提供することが可能となっています。さらに、これらを応用し、インスリンポンプによる治療を組み合すこともでき、特に1型糖尿病の患者さんにおいて、血糖コントロールや生活の質が著しく改善されることもあります (SAP療法:Sensor Augmented Pump)。

以上のように、これまでとは違った視点で、糖尿病のコントロール状況を再確認することは、患者さんにとって大きなメリットです。糖尿病の診療も目覚ましく進歩し、治療薬だけでなく、医療機器もどんどん開発されてきています。大学病院での豊富な診療経験をもとに、当院でも ”持続血糖モニタリング” を積極的に使用しています。その実績が認められ、厚生労働省の施設基準を満たしていますので、保険診療でこれらの検査や治療を受けて頂くことが可能となっています。

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。慣れたスタッフもいますので、より安心して診療を受けて頂けるかと思います。

花粉症

今日は花粉症のお話です。インフルエンザが記録的な流行をみせる中、花粉症まで重なってきます。せっかく春が近づいているのに、憂鬱になりますよね。

花粉症とは、花粉によって生じるアレルギー疾患の総称であり、主にアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎のことをいいます。咳ぜんそく気管支喘息にも悪影響しますので注意が必要であり、当院でも積極的に花粉症の治療を行っています。花粉症は、『鼻アレルギー診療ガイドライン2016』 などに準じて診療を行います。

日本人の約5人に1人は花粉症と言われています。2月中旬からの飛散が予測されていますが、花粉が飛び始めてすぐに症状が出る人もいれば、たくさん飛んではじめて症状が出る人もいます。病状も同じように、軽い場合、重い場合があり、さまざまです。つまり同じ花粉症でも、個人差があるわけです。

外から侵入してきた花粉に対して、体が ”異物” と認識することで、アレルギー反応が起ります。その結果、目のかゆみ・くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が引き起こされてしまいます。また、あまり知られていませんが、頭痛・微熱・倦怠感などを伴うこともあります。花粉は粒子が大きいため、目や鼻に付着し、気管支や肺の奥までは入らないとされていますが、咳や喘息症状の悪化もしばしば伴います。これは、目や鼻でアレルギー性炎症のスイッチが入ってしまうと、気管支や肺まで炎症が伝わってしまうからです。

私は、何の病気 (癌・感染症・アレルギーなど) であっても、”全身治療” と ”局所治療” に大別して診療にあたります。これを組み合わせて、病気を抑え込みにかかります。前者は血液の流れにのって全身に広がってくれるもの、後者はその場所で特にパワーを発揮してくれるもの。花粉症においては、抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬の抗アレルギー薬の内服が前者にあたり、点眼薬・点鼻薬が後者にあたります。また、咳や喘息症状を伴う場合は、吸入ステロイド薬も併用します。

「治療の開始は、花粉の飛びはじめに」 と言われています。三重県では2月上旬が望ましいでしょう。最近の抗アレルギー薬は、眠気などの副作用も少なく、かつ効果も高くなってきています。また、点鼻薬や点眼薬も当院で処方できますので、遠慮なくお申し付け下さい。なお、今季はシーズンを逸してしまいましたが、来季に向けてアレルゲン免疫療法を行うこともできます。

最後にご自身での対策として、メガネ・マスクの着用、外出を控える、花粉のつきやすい衣類を控える、衣服を払ってから入室する、こまめに掃除をするなどがあります。いずれも抗原回避が目的になりますので、ぜひお気を付け下さい。

アレルギーポータル

2018年10月に、厚生労働省と日本アレルギー学会により、『アレルギーポータル』というサイトが公開されましたが、皆さんご存知でしょうか? アレルギー疾患対策基本法に従って、国民に正しい知識を伝えることが目的とされています。

トップページには、「アレルギーについて、正しい知識を身につけて疾患の治療、管理、予防をしましょう」と記されており、アレルギー疾患の特徴・症状・重症度・治療方法などの基礎知識について、とてもわかりやすく解説されています。また、レイアウトやカラーもきれいで、直感的にページを閲覧することができます。

都道府県におけるアレルギー疾患の医療提供体制整備もすすめられていますが、アレルギーポータルの三重県の医療機関情報ページ (アレルギー専門医一覧) に、当院も掲載されています。当院が担わなければならないのは、成人喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーやアナフィラキシーの管理 (原因アレルゲン検索エピペン処方) などになります。

中でも呼吸器疾患の代表である、”気管支喘息” の診療においては、地域の中心的な役割を担えるようにならなければならないと考えています。①適切な診断、②吸入薬を中心とした適切な治療、③患者さんにあった吸入器の選択、④治療継続の必要性の理解、⑤治療介入後のコントロール状況の把握、⑥他の呼吸器疾患の除外など、挙げれば切りはありませんが、とにかく患者さんには、安心して診療を受けていただけるよう努めてまいりたいと思います。

アレルギーポータルを活用し、正しい知識を身につけることで、より良い診療を受けて頂くことが可能になると思います。患者さんだけではなく、医療従事者の方も、ぜひ一度ご覧下さい。

第4回 糖尿病教室

当院では、糖尿病の予防・管理・治療意欲の向上などを目的として、季節ごとに ”糖尿病教室” を開催しています。

第1回「続けたくなる運動療法」、第2回「災害への備え」、第3回「年末年始の過ごしかた」 、それぞれをテーマとして教室を開催させて頂きました。多くの方にお集まり頂き、盛況に教室を終えることができました。第4回は、「かくれ高血糖」をテーマとさせて頂きます。

聞きなれない言葉かもしれませんが、基本的には、”食後の高血糖” のことを意味します。食前の採血では、どうしても見落とされてしまうため、「かくれ高血糖」と呼ばれています。今回は、その意義や対策についての勉強をしましょう。

なお、”糖尿病教室” は、保険診療適応となります。3割負担の方で、300円程度の費用になります。当院に通院中の患者さんにはお声掛けさせて頂きますが、定期通院のない患者さんでも参加していただけますので、ご希望の方は当院までご連絡下さい(⇒059-233-0024)。定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。

●第4回 糖尿病教室
・日時:2019年2月28日(木)、12時30分~13時30分
 1時間前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:医師・看護師・管理栄養士 「かくれ高血糖」
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応)

認定産業医

院長が日本医師会認定産業医に認定されました。企業の従業員さまの健康管理を担当させて頂きます。特に、喫煙率の高い企業における禁煙治療や、生活習慣病の管理を提供したいと考えています。普段の診療との時間的な兼ね合いがありますので、ご希望の企業の担当者さまは一度お問い合わせ下さい。宜しくお願い申し上げます。

医学博士

院長が三重大学より、医学博士の学位を授与されました。学位論文のテーマは「MMP-2過剰発現マウスにおける短期タバコ煙によるemphysema誘発の検討」です。難しい内容ですが、”喫煙” と呼吸器タバコ病の代表である “COPD” の研究です。学んだことは、今後、禁煙治療やCOPDの診療に活かしていきたいと思います。関係者の皆様、ありがとうございました。

呼吸器指導医

院長が呼吸器指導医に認定されました。三重県には呼吸器専門医が50名しかおらず、うち18名が呼吸器指導医であります。都道府県別の人口比率では、残念ながらワースト3に入るそうです。つまり、少ない専門医で多くの患者さんを診療しなければならない、ということになります。そうであっても私たちは、少しでも多くの患者さんに専門診療を提供できるように、三重大学医学部附属病院呼吸器内科を中心に、一丸となって頑張ってまいります。また後輩の育成・指導にも力を注ぎたいと思います。今後とも宜しくお願い申し上げます。