「5. 健診・検査・他」カテゴリーアーカイブ

インスリンポンプ療法

前投稿では、持続血糖モニタリングについて説明させて頂きました。その中で少しだけ、インスリンポンプによる治療について述べましたが、今回はもう少し詳しく説明させて頂きます。糖尿病の一般論については、こちらもご参照下さい。

近年、非常に多くの種類の糖尿病治療薬が出てきていますが、これらを組み合わせても血糖コントロールが得られない場合や、そもそもインスリン分泌能が低下している1型糖尿病では、インスリン療法の適応になります。インスリン療法は、大きく分けて、下記の2種類があります。

① 頻回注射療法
(MDI:Multiple Daily Injection)
② 持続皮下インスリン注入療法 = インスリンポンプ療法
(CSII:Continuous Subcutaneous Insulin Infusion)

①頻回注射療法とは、従来通りのインスリン自己注射です。一方、②インスリンポンプ療法とは、皮下にカニューレと呼ばれる細い管を穿刺し、常時少量ずつのインスリンを注入します。24時間持続的に注入するインスリンを ”基礎インスリン”、食事に合せて追加するインスリンを “追加インスリン” といいます。これらの注入量は、患者さんそれぞれによって異なりますので、調節が必要です。

インスリンポンプ療法では、膵臓からのインスリン分泌により近いインスリン投与が可能になります。その結果、血糖コントロールの改善や安定化、低血糖の予防が期待できます。また患者さんにとっての最大のメリットは、毎日の自己注射から解放されることでしょう。それぞれの日常生活スタイルに合わせることができるようになり、生活の質の向上が期待できます。アメリカではすでに、インスリン療法の約3分の1は、インスリンポンプ療法に取って代わっています。

少し話が難しくなりますが、ここでも、持続血糖モニタリングが役立ちます。インスリンポンプ療法と組み合すことができ、これをSAP療法 (Sensor Augmented Pump) といいます。インスリンポンプに持続血糖モニタリング機能が搭載されており、リアルタイムで、インスリンポンプに血糖変動が表示されます。これを確認することで、インスリン注入量の調節が、安全かつ容易になります。また血糖変動の上限と下限を設定しておくと、その範囲を超えた場合には、音やバイブで知らせてくれます。また、下限に近付いた場合は、自動で一旦インスリンをストップしてくれます。

SAP療法は、厳格なコントロールが必要な妊娠糖尿病や、1日4~5回のインスリン注射でもコントロールが困難な1型糖尿病などに導入しています。このように、糖尿病治療薬だけでなく、医療機器の開発により、私たちは恩恵を被ることができるようになってきています。こちらも諸外国に比較すると、まだまだ日本では導入が少ないですが、患者さんのよりよい日常生活ために、積極的に導入していきたいと思います。

なお当院は、厚生労働省の施設基準を満たしており、保険診療でこれらの検査や治療を受けて頂くことが可能です。慣れたスタッフもいますので、より安心して診療を受けて頂けるかと思います。インスリンポンプ療法による管理をご希望の方は、当院までお問い合わせ下さい。

持続血糖モニタリング

今回は、少し専門的な糖尿病診療のお話になります。糖尿病の一般論については先に述べましたので、こちらをご覧下さい。それでは早速ですが、”持続血糖モニタリング” をご存知でしょうか? 糖尿病の診療において、血糖測定が重要であることは言うまでもありませんが、自己血糖測定や採血などの従来の測定方法では、その時点での値しか把握することができませんでした。近年、この欠点を補う血糖測定方法が注目されており、”連続的に” 血糖値を測定することが可能となっています。『点ではなく線で評価する時代』 と言われています。

実際には、腹部や腕に専用のセンサーを装着して、皮下の糖濃度を、1-2週間ずっと連続で測定します。厳密には、血中の糖濃度とは異なるため、若干の差が生じます。ただし、そもそも正確な血糖値を測定することが目的ではなく、あくまで血糖値の日内変動をモニタリングすることが目的であることを理解する必要があります。この持続血糖モニタリングのシステムとして、CGM (Continuous Glucose Monitoring) やFGM (Flash Glucose Monitoring) があります。

例えば、食事を摂取すると、血糖値が上がり始め、いつピークに達し、どのタイミングで下がり始めるのかなどの情報を得ることができます。もちろん血糖値のピークもわかりますし、”かくれ高血糖” と呼ばれる食後高血糖を見落とすこともありません。

最近、テレビの健康番組などで、”食事の順番” がよく取り上げられています。どういう順番で食事をすると血糖値が上昇しにくいかを検証しています。ここで、この持続血糖モニタリングが用いられています。モニタリングした状態で食事を摂取してもらえば、血糖変動を追うことができますので、実際に当院での栄養指導の際にも、得られた持続血糖モニタリング結果を用い、食事の順番なども加味した個別の指導をさせて頂いています。ちなみに、下記の順番で食べると良いとされており、急な血糖上昇を防ぐことができます。

① まず、野菜などを食事の前半で食べる。
② 続いて、肉・魚・大豆などの蛋白質を食べる。
③ 最後に、ごはん・パン・麺類などの炭水化物を食べる。

逆に、低血糖の検出にもすぐれ、その頻度や程度を把握することができます。また自覚しない低血糖や、睡眠中の低血糖を見つけることもできます。これらを確認することで、より安全で、効率のよい治療を提供することが可能となっています。さらに、これらを応用し、インスリンポンプによる治療を組み合すこともでき、特に1型糖尿病の患者さんにおいて、血糖コントロールや生活の質が著しく改善されることもあります (SAP療法:Sensor Augmented Pump)。

以上のように、これまでとは違った視点で、糖尿病のコントロール状況を再確認することは、患者さんにとって大きなメリットです。糖尿病の診療も目覚ましく進歩し、治療薬だけでなく、医療機器もどんどん開発されてきています。大学病院での豊富な診療経験をもとに、当院でも ”持続血糖モニタリング” を積極的に使用しています。その実績が認められ、厚生労働省の施設基準を満たしていますので、保険診療でこれらの検査や治療を受けて頂くことが可能となっています。

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。慣れたスタッフもいますので、より安心して診療を受けて頂けるかと思います。

第4回 糖尿病教室

当院では、糖尿病の予防・管理・治療意欲の向上などを目的として、季節ごとに ”糖尿病教室” を開催しています。

第1回「続けたくなる運動療法」、第2回「災害への備え」、第3回「年末年始の過ごしかた」 、それぞれをテーマとして教室を開催させて頂きました。多くの方にお集まり頂き、盛況に教室を終えることができました。第4回は、「かくれ高血糖」をテーマとさせて頂きます。

聞きなれない言葉かもしれませんが、基本的には、”食後の高血糖” のことを意味します。食前の採血では、どうしても見落とされてしまうため、「かくれ高血糖」と呼ばれています。今回は、その意義や対策についての勉強をしましょう。

なお、”糖尿病教室” は、保険診療適応となります。3割負担の方で、300円程度の費用になります。当院に通院中の患者さんにはお声掛けさせて頂きますが、定期通院のない患者さんでも参加していただけますので、ご希望の方は当院までご連絡下さい(⇒059-233-0024)。定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。

●第4回 糖尿病教室
・日時:2019年2月28日(木)、12時30分~13時30分
 1時間前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:医師・看護師・管理栄養士 「かくれ高血糖」
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応)

第3回 糖尿病教室

当院では、糖尿病の予防・管理・治療意欲の向上などを目的として、季節ごとに ”糖尿病教室” を開催しています。医師・看護師・管理栄養士から様々なテーマに沿ったお話をさせて頂きます。そして、豊富な指導経験のあるスポーツインストラクターから、運動療法を提供させて頂きます。一味違った運動療法を受けてみてはいかがでしょうか。

第1回「続けたくなる運動療法」、第2回「災害への備え」とも、好評でしたが、第3回は 『年末年始の過ごしかた』 をテーマに教室を開催したいと思います。年末年始の暴飲暴食に、冬季の運動不足が重なることで、2月から4月にかけて、年間を通して最もHbA1cが上昇することが知られています。年末年始は、しっかりおさえておきたいところです。

なお、”糖尿病教室” は、保険診療適応となります。3割負担の方で、300円程度の費用になります。当院に通院中の患者さんにはお声掛けさせて頂きますが、定期通院のない患者さんでも参加していただけますので、ご希望の方は当院までご連絡下さい(⇒059-233-0024)。定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。

●第3回 糖尿病教室
・日時:2018年11月29日(木)、12時30分~13時30分
 1時間前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:医師・管理栄養士・スポーツインストラクター 「年末年始の過ごし方」
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応)

呼気NO検査

一酸化窒素 (nitric oxide:NO) は、生体内で産生され、多彩な作用を示すことが知られています。アレルギーに関連した咳嗽気管支喘息の患者さんにおいて、気道で ”炎症” が起こり、その病態を引き起こしていることはこれまでも述べてきました。吸入ステロイド剤を中心とした治療により、この ”炎症” を抑えることで、咳や喘息の症状は軽快するわけです。

体内の炎症を起こす物質 (炎症性サイトカイン) により、気道の上皮細胞や炎症細胞が刺激されると、多量のNOが産生されることがわかっています。NOはガスであり、吐いた息の中 (呼気中) に排出されますので、専用の測定器を用いて呼気中のNO濃度を測定することで、気道炎症の有無を評価することが可能となっています。つまり、息を吐くだけで、炎症があるかないかがわかります。

実際の測定は、少しコツがいるものの、非常に簡単です。大きく息を吸った後、測定器に備え付けられたマウスピースをくわえ、10秒ほどゆっくり息を吐いていただきます。ゆっくり息を吐くときに、一定の流量を保つことがポイントであり、早く吐きすぎると値が低く、遅すぎると高くなり誤差が生じてしまいます。

測定値はppb単位で表示されます。結果は、用いる測定器により若干の差が出てしまうことも知られていますが、2018年3月に日本呼吸器学会が発刊した「呼気NO測定ハンドブック」によると、下記の基準とされています。

●健康な成人の日本人 呼気NO濃度
・平均値 15 ppb
・正常上限値 37 ppb
●喘息患者 呼気NO濃度
・22 ppb以上 喘息の可能性が高い
・37 ppb以上 ほぼ確実に喘息

ここで私の考えですが、呼気NO濃度の実測値 (絶対値) は少し余裕をもって解釈したいと思っています。測定器の種類や呼気流速による誤差の他にも、呼気NO濃度が低下する因子として、喫煙・呼吸機能検査施行後・ステロイド薬の使用などが挙げられ、呼気NO濃度が上昇する因子として、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・急性感染症などがあります。ある程度の誤差やばらつきを考慮し、例えば測定結果が21ppbであった場合も、「22ppb未満だから絶対に喘息ではない」と解釈するのではなく、「だいたい22ppbだし、むしろ喘息の可能性もある」と解釈すると良いかもしれません。

さて、もう1点大事な点ですが、呼気NO検査において、過去の値と比較をすること (相対値) はとても有意義です。吸入ステロイド剤などによる治療を行うことで、鋭敏に反応し、多くの場合、呼気NO濃度は低下します。経験的には、呼気NO濃度が下がっていれば、基本的には治療は効いていると判断してよさそうです。逆に値が上昇してくる場合、病状の悪化や、患者さんが治療をさぼっているなどの場合もあるので、管理に用いることができます。

そもそも気管支喘息は、呼気NO検査だけで診断するものではありませんが、上述のように、診断の助けとなり、その後の管理にも有意義です。「えっ、もう終わりなの?」といった簡単な検査ですが、呼吸器内科診療において、なくてはならない存在になってきていますので、必要に応じて施行させていただきたいと思います。

アレルゲン免疫療法

“アレルゲン免疫療法” をご存知でしょうか? 近年、舌下薬を用いることができるようになり、”舌下免疫療法” とも呼ばれます。季節性アレルギー性鼻炎 (スギ花粉症) や、通年性アレルギー性鼻炎 (ダニアレルギー) を対象とした治療であり、アレルギーの原因であるアレルゲンを少しずつ体に投与することで、体を慣らして、根本的な改善を期待する治療方法です。現在、”スギ花粉” と ”ダニ” に対する治療が保険適応となっており、その治療指針として、「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」、「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」が日本アレルギー学会からそれぞれ発刊されています。

アレルギーを根本から改善することが期待できるという点で、一般的な薬物療法とは一線を画すものでありますが、まだまだ認知度も低いと思います。主に花粉症の治療方法ですので、耳鼻科での取り扱いが多くなりますが、他の診療科では医師であっても存在を知らないことも多いと思います。よって、積極的に周知していくことも、私たちアレルギー専門医の役目であります。当院では、”” や ”気管支喘息” にて通院されている方が多いですが、約70%に ”アレルギー性鼻炎” を合併しているという背景もあり、こちらに対する治療も併せて行っています。

くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどのアレルギー症状が出ると、日常生活にも影響し、例えば、イライラする・眠れない・集中力や思考力が低下する・疲れやすい・頭痛がする・外出したくない、などの状態となることがあります。アレルゲン免疫療法には、これらの一連の症状や状態に対しての治療効果が期待されます。

診断としては、まず問診により、アレルギー症状、程度、期間、昨年や一昨年はどうであったか、季節による違い、アレルゲンの存在、ご家族のアレルギー歴などを聞き取ります。次いで、各種アレルゲンに対するIgE抗体の血液検査を行います。ここでスギやダニに対するIgE抗体が高値であり、アレルギー性鼻炎の診断が正確になされた場合、アレルゲン免疫療法の治療適応となります。

実際の治療ですが、少量のアレルゲンを含んだ舌下液や舌下錠を、1日1回服用します。少量から開始して、増量し、一定量を数年間 (3-5年が推奨) 継続して服用します。舌下に投与し、しばらく保持したあと飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えるようにします。また服用前後2時間は、できるだけ運動・入浴・アルコール摂取を控えることが望ましく、これらは強いアレルギー反応を起こしにくくするための配慮です。同様に、安全のため、初回のみ院内で服用して頂きます。

副作用に関しては、口内炎、唇・口・のどの粘膜の腫れや不快感、耳のかゆみ、頭痛などの副作用が出ることがあります。またβブロッカーやステロイドを内服中・妊娠中・不安定な重症喘息・全身性の重篤な疾患 (悪性腫瘍・自己免疫性疾患・重症心疾患・慢性感染症など) などの場合、治療を受けて頂くことはできません。

特に当院では、喘息合併例が多いですので、注意が必要です。咳や喘息に対する効果も期待されるのですが、今のところ喘息のみに対してアレルゲン免疫療法を行うことはできません。少量ながらアレルゲンである本薬剤を投与することで、むしろ悪化させてしまう可能性があるからです。一方、喘息とアレルギー性鼻炎の合併例に対しては、喘息が十分コントロールされている場合、アレルゲン免疫療法を導入することができます。

アレルゲンの回避や、従来通りの薬物療法 (抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、点鼻ステロイド薬など) も併用することができますので、患者さんの状態やご希望に応じた治療を選択させていただきたいと思います。

最後に、スギ花粉に対するアレルゲン免疫療法に関しては、スギ花粉の飛散している時期の内服開始はできませんので、ご希望の方はお早めにご連絡下さい。

実際の診療について、詳しくは製薬メーカーのサイトをご参照下さい (⇒ アレルゲン免疫療法ナビ:鳥居薬品株式会社)。

原因アレルゲン検査

アレルギー疾患において、問診や血液検査を行うことで、原因となる物質を同定することは重要なことです。この物質のことを、”アレルゲン” や “抗原” と呼びます。アレルギー疾患といわれてもピンとこないかもしれませんが、身近な存在である花粉症もそうですし、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、そしてアレルギーに関連した気管支喘息アナフィラキシーなどが当てはまります。これらはアレルゲンに曝露することにより、しばしば発症してしまいます。

様々なアレルギー症状でお困りの患者さんが通院されてみえますが、このアレルゲンを同定することにより、アレルゲンから回避することが可能となる場合があります。つまり環境を改善することで、病状を良くすることができます。これらは薬物療法よりも重要なことです。

例を挙げますと、吸入薬や内服薬での治療を行ってもなかなか改善しない気管支喘息患者さん、よく話を聞いてみると、家で犬と一緒に寝ていることが判明したなどの場合があります。この場合は犬がアレルゲンとなっていますが、どんなに薬物療法を強化しても、アレルゲンに曝露し続けていると病状が良くならないわけです。「ペットは家族だ!」といった別の問題点もありますが、アレルギーの原因を断てないと、残念ながら病状はなかなか改善しないということになります。

2018年6月に、日本アレルギー学会から、3年ぶりに改訂され、『喘息予防・管理ガイドライン2018』が発刊されました。ここでも、”喘息の危険因子と予防” の項で、「アレルゲンは喘息症状の重要な増悪因子であることから、アレルゲンを減らすための環境整備が強く推奨される」と明記されています。

さて実際の診療では、まず問診により、何に曝露するとどのような症状が出るのかを聞き取りします。検査よりも、実際に引き起こされてしまう反応の方が、診断根拠としては高いものになります。問診でははっきりしない場合も多く、また予期せぬアレルゲンが見つかる場合もあるため、血液検査による原因アレルゲン検査も併せて行います。

ハチアレルギー検査のページでもお伝えしましたが、これらのアレルギーの病態に関与するのが ”IgE抗体” であり、肥満細胞や好塩基球を介して、アレルギー反応を起こします。IgE抗体が高い場合、アレルギー反応が出やすいといわれています。このIgE抗体は、血液検査を行うことによって、測定することができます。 IgE抗体全体の量 (非特異IgE抗体、RIST)、各種アレルゲンに対するIgE抗体の量 (特異IgE抗体、RAST) を測定します。

各種アレルゲンに対するIgE抗体は、1項目ずつ選択して測定する方法では、13項目までの測定が保険診療で認められています。ただし、”View アレルギー 39″ などの検査キットを用いることで、30種類以上の多くのアレルゲンを同時に測定することが可能となり、費用も13項目分と同額になります。こちらでは項目の選択はできなくなりますが、花粉・ダニ・ハウスダスト・真菌 (カビ)・ペット・食物・昆虫などを、まんべんなく測定することができますので、こちらの方がアレルゲン検索としての意義が高くなる場合が多いです。

費用の問い合わせが多い検査でもありますが、実際にアレルギー疾患がある場合は保険適応となります。前述の通りですが、13項目を選択して測定する場合も、検査キットを用いて30種類以上を測定した場合も、3割負担で、5,000円程度となります。

患者さん自身も、何に対してアレルギーを持っているかを把握しておきたいと思われていることが多く、他の検査に比べても、満足度の高い検査なように感じます。皆さん、熱心に結果説明を受けてみえます。強調しますが、アレルギー疾患において、アレルゲンの回避は最も重要なポイントですので、心に留めて頂きたいと思います。

ダイエット外来

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スタッフの休職に伴い、ダイエット外来の受付を休止とさせていただきます。ご迷惑をおかけします。2023.9.30 院長

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呼春の森診療所では、専門医・管理栄養士・スポーツインストラクターの、3つの視点から考えたダイエットプログラムである “ダイエット外来” を発足し、これまで約70例の患者さんに行ってきました。コロナ禍、小さな診療所でできる範囲、限られた人数に向けた内容にはなってしまいますが、患者さんの健康のことを皆でよく検討した内容となっていますので、ご興味のある方は是非お問い合わせ下さい。個人情報ですので詳細は伏せますが、それなりの結果が得られています。なお、本プログラムは美容などの目的はございません、あくまで健康を追及したものとなっています。

メタボリック症候群糖尿病脂質異常症高血圧症高尿酸血症・痛風などのいわゆる “生活習慣病” と “肥満” の関連やその重要性については、皆さんよくご存知の通りかと思います。それぞれの疾患のページで詳しく解説していますので、そちらもご覧いただければと思います。

今回は、この “肥満” に注目してみましょう。まず肥満の定義ですが、見た目太っているだけでは、医学的に肥満とはいいません。BMI (body mass index, 体格指数) という指標があり、これを計算することで、肥満かどうかを判断します。BMIが25以上の場合、「肥満」と定義されます。一度計算してみて下さい。

● BMI : 体重 (kg) ÷ 身長 (m) ÷ 身長 (m)

さらに、こちらはご存じない方も多いかと思いますが、 「肥満症」 という言葉があります。肥満に加えて、次の①または②のような状態である場合をいい、ただの肥満とは異なり、ここでは “病気” の扱いとなります。ここを改善していく必要があります。逆に言うと、肥満症に該当する患者さんが、本プログラムの主な対象者になり、概ね保険診療の対象にもなります。

● 肥満症 : 肥満 (BMI 25以上) + ① または ②

① 糖尿病、耐糖能障害、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患 (狭心症・心筋梗塞)、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群、肥満性低換気症候群、脂肪肝、月経異常、妊娠合併症、整形外科疾患、肥満関連腎臓病

② 腹囲:男性85㎝以上 女性90㎝以上

実際の流れですが、まず初診時に、専門医の診察を受けていただきます。副院長が担当しますので、診療時間のページもご参照下さい (休診:木曜午後、金曜午前)。問診や診察に加えて、生活習慣病を念頭に置いた血液検査や尿検査を受けていただきます。ここで病気が見つかった場合は、当然ながら通常の内科診療を受けていただくことになります、そして、月1回のダイエットプログラムを並行して受けていただく形となります。

さて、そのダイエットプログラムですが、栄養指導と運動療法はまとめて、毎週木曜日の午後、1日限定3枠 (月12枠)で行います 。栄養指導と運動療法は、それぞれ20分前後を予定し、月1回、全6回 、約半年間を目標とした内容になっています。

Inbody (体組成計)により計測された、筋肉量や脂肪量のデータをもとに、管理栄養士からは、肥満の改善に重点を置いた栄養指導を、またスポーツインストラクターからは、ただハードな運動ではなく、聞き取りを行うことで、患者さんの運動能力に差があることを考慮した個別のプログラムを提供させて頂きます。運動によって筋肉をつけると、基礎代謝が高まり、脂肪燃焼の促進につながり、その結果リバウンドを回避することが可能です。

費用に関しては、栄養指導は保険適応となる場合、初回 750円、2回目以降 570円(3割負担の場合)、運動療法は自由診療になりますので、1回 1,100円とさせていただきます。なおInbodyの費用は含まれます。

患者さん自身の一生にわたる課題であり、ご自身に向き合うこと、前向きな姿勢が何より重要です。お薬の処方だけが治療ではありません、私たちはこういった点からもサポートをさせていただく立場であると思います。一緒に頑張ってみませんか。お気軽に、お問い合わせ下さい。

2022.6.11 改

健診で異常を指摘されたとき

7月から特定健診やがん検診が始まっていますが、異常を指摘された場合、どうされていますでしょうか?

健診結果についてですが、異常を指摘された、つまり要精密検査や要治療に該当した場合ですが、当院で、さらなる精密検査や専門的な診療を受けて頂くことができます。

そもそも、特定健診とは、40歳以上75歳未満の被保険者全員に、メタボリック症候群糖尿病などの生活習慣病の発症を予防することを目的に発足した制度です。生活習慣病の該当者や健康を害する恐れのある予備群を減少させることが目的とされています。

特に当院では、糖尿病メタボリック症候群脂質異常症などについて、専門医による診療を受けて頂くことができます。特定健診により、生活習慣病やその予備軍に該当した場合でも、その場限りの対応ではなく、その時に適したアドバイスや、その後の管理も含めて、対応させていただきます。

また、特に肺がん検診で異常を指摘された場合は、診断や治療に急を要すこともあります。当院では、ご来院同日に、直ちに胸部CTを施行し、一緒にCT画像を見ながら、専門医から結果を説明させて頂くことができます。

肺がん検診では、肺がんだけではなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)慢性肺感染症(肺結核症、非結核性抗酸菌症、肺真菌症、気管支拡張症)間質性肺炎などが発見されることも多く、その評価を行うこともできます。

仮に肺がんの疑いが強まった場合など、より高度な精査を受ける必要がある場合は、責任を持って、大学病院や基幹病院などに紹介させて頂きます。

医師の見落としばかりが報道される昨今ですが、せっかく受けられた健診結果を患者さんが放置し、重篤化してしまうケースはそれ以上に経験しますので、是非よろしくお願いします。当院が “きっかけ” になれればと思います。

第2回 糖尿病教室

当院では、糖尿病の予防・管理・治療意欲の向上などを目的として、定期的に ”糖尿病教室” を開催しています。医師・看護師・管理栄養士など、様々な職種からお話しさせて頂きます。季節にあったもの、話題になっていることなど、様々なテーマを取り入れたいと思います。

また当院には、スポーツインストラクターが勤務しており、スポーツジムなどでの豊富な指導歴があります。スポーツインストラクターが勤務しているクリニックは、なかなか見当たらないと思いますし、せっかくの機会ですので、一味違った運動療法を受けてみてはいかがでしょうか。第1回の「続けたくなる運動療法」はとても好評でしたので、今回、第2回はもう少し長く時間をとりたいと思います。運動しやすい服装でお越し下さい。

なお、”糖尿病教室” は、保険診療適応となります。3割負担の方で、300円程度の費用になります。当院に通院中の患者さんにはお声掛けさせて頂きますが、定期通院のない患者さんでも参加していただけますので、ご希望の方は当院までご連絡下さい(⇒059-233-0024)。定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。

●第2回 糖尿病教室
・日時:2018年9月27日(木)、12時30分~13時30分
 1時間前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:看護師・管理栄養士・スポーツインストラクター 「災害への備え」
 スポーツインストラクター 運動療法
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応)