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禁煙外来

いつの時代も、愛煙家と嫌煙家の対立はあったと思います。企業や団体、政府の思惑から、健康面だけでは語れない部分があり、少し複雑ですね。しかし昨今、世の中のタバコに対する風当たりが強くなっているようには感じます。

私の立場としては、健康被害に関して、強調してお伝えさせて頂かなければなりません。心血管病、COPD肺がんに代表される、いわゆる “タバコ病” を最前線で目のあたりにし、健康被害を実感しているからです。どの患者さんも、発病して、初めて、後悔します。一方私は、喫煙と病気の関連性についてはお伝えしますが、喫煙してきたことをわざわざ非難するようなことはしません。

さて、疫学の話になりますが、厚生労働省の健康調査 (2018年度)によると、習慣的に喫煙している者の割合 (喫煙率)は、17.8% (男性29.0%、女性8.1%)となっています。約50年前には、特に男性は80%以上の喫煙率であったことを考えると、さすがに低下してきていますが、ここ数年は横ばいとなっている現状もあります。

では、誰が禁煙しているのでしょうか? 喫煙率を年齢別にしてみると、実は70歳以上の群で低くなっています。つまり、年齢を重ねてから禁煙しているのです。病気が近づいていることを実感し、また実際に発病する年代であるため、それが禁煙のきっかけになっているものと思います。「俺は65歳の時に心筋梗塞して、きっぱりやめたわ。」どこか誇らしげに、患者さんはそう言います。でも、それでは遅いのです。

他科の先生にも、「どこで禁煙治療してもらったらいいの?」と時々きかれますが、「すみません、開業医さんのどこでもできるみたいです。」と答えていました。ずっと無責任に感じていましたので、禁煙認定指導医の資格を取りました。薬物療法だけにはとどまらない診療が必要であると思っています。「彼女が嫌がる」、「タバコが高い」、「子供ができた」、「家を新築した」…、きっかけは何だっていいじゃないですか、将来のために、禁煙しましょう。”タバコ病の果て” を知っている者として、何か手助けできることがあると思います。

実際の診療について、詳しくは製薬メーカーのサイトをご参照下さい (⇒ すぐ禁煙.jp:ファイザー株式会社)。

2020.4.28 改