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蜂とアレルギー

中日新聞の生活面の「つなごう医療」に、取材記事を掲載していただきました (2019.8.6)。テーマは「蜂とアレルギー」です。

梅雨が明け、急激に暑くなり、蜂が活発に活動しています。庭作業が日課の私も、頻繁に蜂を見るようになりました。アシナガバチが多いですが、時にスズメバチも飛来しています。特にスズメバチは攻撃性が高く、身の危険を感じます。

さて、皆さまご存じの通りで、蜂に刺されると命にかかわることがあります。全身の皮膚症状に加えて、呼吸困難や血圧低下といった生命に危機を与え得る症状が出ることを “アナフィラキシー”と言います。蜂に刺されたことによる死亡者数は、年間20人ほどとされています。

アナフィラキシーの診療において最も大切なことは、救急外来での初期診療になります。いわゆる救命処置ですね。しかし、ここで終わりではありません。「同じことを起こさせないように対策すること」の必要性を強調したいと思います。

一つ目は原因の検索です。IgE抗体という、アレルギー反応を引き起こす抗体があり、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチについて、血液検査で簡単に測定することができます (ハチアレルギー検査)。蜂に刺されたことがある人、アレルギー反応が強かった人、住まいや職業で刺される可能性が高い人は、一度測定されるとよいと思います。

二つ目は、アドレナリン自己注射製剤である “エピペン”を携帯することです。有事の際には自己注射し、かつ救急要請することで、命の危険を回避することができます。

これらの対策に加え、そもそも蜂に刺されないようにすることも大切です。実は、今回の取材を受け、蜂のことばかり考えているときに、何気なく診療所の軒下を見てみると、まさかの蜂の巣を発見しました。巨大なスズメバチに後ずさりし、直ちに専門業者に駆除していただきました。

皆さまも、ベランダや軒下のチェックをお忘れなく!

記事リンク 『2度目以降 急に悪化も ハチの毒』

ハチアレルギー検査

山間部に出入りする職業の方から問い合わせをいただいています。当院で、”ハチアレルギー検査” を受けて頂くことができます。

ハチに刺されて亡くなる人がいることは皆さんご存知かと思います。ではなぜそのようなことが起こるのでしょうか。ハチに刺されると、ハチ毒が体内に入りますが、ハチ毒そのものが生体に悪さするわけではありません。生体内でハチ毒に対しての強いアレルギー反応が起こり、アナフィラキシーという病態が引き起こされてしまいます。

アナフィラキシーとは「アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過敏反応」と定義されており、血圧低下や意識障害を伴う場合を、アナフィラキシーショックといいます。ハチ毒に限った病態ではなく、私たち医療従事者は、抗癌剤や抗生剤など、医薬品でのアナフィラキシーの発症を経験します。詳しくはアナフィラキシーの一般論症状と対策の頁をご参照下さい。

このアナフィラキシーの病態に関与するのが ”IgE抗体” であり、肥満細胞や好塩基球を介して、アレルギー反応を起こします。IgE抗体が高い場合、アレルギー反応が出やすいといわれています。このIgE抗体は、血液検査を行うことによって、測定することができます。 IgE抗体全体の量 (非特異IgE抗体、RIST)、スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチのそれぞれに対するIgE抗体の量 (特異IgE抗体、RAST) の4項目を測定します。

ここで注意がありますが、IgE抗体が陰性であった場合でもアナフィラキシーが起こることがあります。だからといって、測定自体が無意味ということではありません。問診により、アレルギー疾患 (アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー結膜炎、蕁麻疹、花粉症喘息など) の有無や、食物や薬剤、特にハチに対する刺傷歴やアレルギー歴の有無を確認し、IgE抗体の測定結果を組合すことによって、対策がとれます。アナフィラキシーの既往のある方や、発現する危険性が高いと判断した方に対して、“エピペン” という、携帯型のアドレナリン自己注射製剤を、前もって処方することができます。

林業や木材製造業従事者の40%、電気工事従事者の30%が、ハチ毒IgE抗体が陽性といわれています。ハチに刺される危険性のある方は一度測定されてはいかがでしょうか。

費用に関しては、蜂に刺されたことがある場合は保険適応になりますので、一般診療とそれほど変わりありません。一方、山間部に出入りする職業の方など、予防のために測定する場合は、医療保険対象外のため、高額になってしまいます(診察費、検査費、郵送費、税込みで 10,000円)。ご希望の方はお電話でお問い合わせ下さい。