膵臓で作られるインスリンというホルモンがあります。インスリンは、肝臓・筋肉などの細胞内にブドウ糖を取り込み、エネルギー源として利用する役割を担います。逆に、インスリンが不足したり、インスリンが効きにくくなってしまう (インスリン抵抗性)と、ブドウ糖を利用できなくなり、血中のブドウ糖が増えてしまい、高血糖状態となってしまいます。日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2016』の血糖値やHbA1cの診断基準を満たせば、糖尿病と診断されます。
① 早朝空腹時血糖値 126mg/dl以上 ② 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dl以上 ③ 時間に関係なく測定した血糖値 200mg/dl以上 ④ HbA1c(NGSP) 6.5%以上 ⑤ 早朝空腹時血糖値 110mg/dl未満 ⑥ 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 140mg/dl未満 |
①~④のいずれかが確認された ⇒糖尿病型 ①~③のいずれかと④が確認された ⇒ “糖尿病” ⑤および⑥が確認された ⇒正常型 上記いずれにも該当しない ⇒境界型 |
糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病に分類されます。生活習慣病として広く知られているのは2型糖尿病になります。一方、若いうちに発症することが多く、また成人してから急にインスリンが分泌されなくなるのが1型糖尿病です。2型糖尿病が90%、1型糖尿病が10%といわれています。
糖尿病の症状としては、口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感、易感染性などがあります。また、高血糖状態が長く続くとなぜ悪いかというと、血管の障害を引き起こしてしまうからです。これに、高血圧症・脂質異常症・肥満・喫煙が加わると、より顕著になります。網膜症、腎症、神経障害のいわゆる三大合併症に加え、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクにもなってきます。これらを予防しないといけないわけです。
そこで治療ですが、まずは生活習慣の改善ですね。意志を持つこと。そして食事療法と運動療法を中心に、体重のコントロールをしましょう。理論上は、「INを減らして、OUTを増やせばいいだけ」、わかっているけどこれが難しい…。みんな同じですよ。専門家 (医師・看護師・栄養士・スポーツインストラクター)ならではのアドバイスをできると思います。また何より継続することが、重要ですよね。処方するだけが治療ではありません、全体を見渡した管理を心掛けます。
加えて、薬物療法になりますが、近年は非常に多くの種類の内服薬が出てきています。大きく下記の種類にわかれます。これらの特徴をよく理解し、組み合わせることで、治療とします。それでもコントロールが得られない場合や、1型糖尿病では、インスリン療法になります。
① 消化管からのブドウ糖の吸収を緩やかにする薬 ② インスリン抵抗性を改善する薬 ③ インスリン分泌を促進する薬 ④ 尿中にブドウ糖を排出する薬 |
また、肥満と関わる疾患ですので、睡眠時無呼吸症候群を20%以上に合併することが知られています。当院でも簡易検査が可能ですので、いびきなどの心当たりのある方は、一度施行してみることをおすすめします。血管の障害という点では、喫煙されている方はさらにリスクが上がりますので、禁煙もしましょう。
将来の健康、楽しい生活のために、日々、糖尿病と向き合いましょう。