咳嗽 (がいそう) とは、咳 (せき) のことですね。世界中で受診理由として、最も頻度が高い症候の1 つだそうです。日本呼吸器学会からも、『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019』が発刊されているほどです。ここではその詳細に関しては割愛しますが、つまりは系統立てて診療にあたりましょうという指針です。咳止めだけでは、少し工夫が足りません。
特に、”長引く咳” には注意が必要です。気管支や肺に障害が起こると咳は誘発されますが、その原因として、アレルギー・気管支喘息・感染症・間質性肺炎・肺がん・喫煙・副鼻腔気管支症候群 (後鼻漏)・胃食道逆流症・薬剤・職業・精神面など、たくさん挙がります。私の考えとして、最も大切なことは問診であり、何かしらのヒントが得られます。
次いで聴診と各種検査になりますが、アレルギーや喘息の診断のために、呼気NO検査や呼吸機能検査を、また感染症や肺がんなどを見落とさないように、レントゲンやCTによる画像検査を行います。必要に応じて、原因アレルゲン検査も行います。得られた情報をもとに、まず原因を断ち、吸入ステロイド薬・吸入気管支拡張薬・抗アレルギー薬・抗菌薬・去痰剤などを中心とした治療を行います。
実は私も、”長引く咳” の症状がありますが、吸入ステロイド薬によりピタッと症状がおさまります。咳の症状が長く持続すること、それは私たちの想像以上に、患者さんにとって苦痛であり、生活の質を落とすものです。症状の改善が得られたとき、どの患者さんも大変喜ばれます。一方、ありとあらゆる治療をしても改善しない場合もあり、難しい側面もあります。そんな場合も、少しでも症状の軽減ができるよう、粘り強い診療を心がけたいと思います。
「私は昔から気管支が弱いから…」 咳の症状を放置していませんか?
2020.4.28 改