院長・副院長・管理栄養士が、ZTVの医療情報番組「おしえて先生」に出演させていただきます。テーマは「メタボリック症候群」と「花粉症」についてです。内容としては、簡単な病気の解説となっています。一定期間にくり返し放送されるそうですが、3人とも撮影には不慣れで、お恥ずかしい限りです。質問などございましたら、受診の際にお願いします。
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医学部3年生の講義
先日、三重大学医学部3年生の講義をしてきました。私からは呼吸器疾患、副院長からは糖尿病内分泌疾患、それぞれ診断学についての内容でした。4年生からは病院実習に入りますので、実際に患者さんに接するようになる前の大事な時期です。診断は治療のため、治療は患者さんのため。患者さんが何を求めているのか大事にしてほしいと強調してきたつもりです。120人以上の若いパワーに押されがち?でしたが、授業後拍手していただけました。少しは届いたのかもしれません。今後も続けていきたいものです。
嬉しい招待状
今日は嬉しい招待状が届きました。送り主は、津西高校2年生の生徒たちです。課題研究の発表会へのご案内でした。すみません、私はすっかり忘れていましたが、夏休みに生徒たちが、それぞれのテーマをもって、当院に検討しに来てくれていたのでした。あれから4ヶ月も検討を重ねた発表、晴れ舞台ですね。学会さながらのポスターセッション形式とのことで、仕上がりがすごく気になります。診療で参加できないので残念ですが、陰ながら応援したいと思います。ガンバレ。
糖尿病ウォークラリーで優勝!
11月14日 “世界糖尿病デー” を含む一週間を「全国糖尿病週間」として、全国各地で一般向けの講演会や健康相談などを通じて、地域単位でこれらの啓発活動が行われています。三重県では毎年、鈴鹿青少年の森において、”歩いて学ぶ糖尿病ウォークラリー” が開催されており、今年で第22回を迎えました。今回は、副院長・管理栄養士・スポーツインストラクター、そして患者の皆さんで、初参加してきました。問題を解きながら、途中でお昼を挟みながら、楽しんで、秋晴れの約5Kmを歩いてきました。結果も伴い、よい運動と勉強にもなり、来年もぜひ参加したいと思います。
健康運動実践指導者
当院のスポーツインストラクターが、健康運動実践指導者に認定されました。9日間にもわたる講習を終え、認定試験に合格して、初めて取得できる称号です。健康運動実践指導者は、全国に20,475人おり、運動による健康づくりを担っていますが、診療所で従事する者は1,982人と少なく、特別な役割を担うことができると思います。健康・体力づくり事業財団により「積極的な健康づくりを目的とした運動を安全かつ効果的に実践指導できる能力を有すると認められる者」と定義されています。つまり患者の皆さんの病状に応じて、健康や安全に配慮した運動療法を行うことが期待されます。当院では、特に高齢・糖尿病・糖尿病合併症・メタボリック症候群・肥満・低肺機能などに配慮した対応ができるよう、引き続き、運動療法やダイエット外来で、実践を積んでもらいます。
第7回 糖尿病教室
当院では、糖尿病の予防・管理・治療意欲の向上などを目的として、季節ごとに ”糖尿病教室” を開催しています。これまでもたくさんの患者の皆さんにお集まりいただき、大変盛況となっています。
今回は第7回目となりますが、真冬の開催になります。そこで、テーマも「冬こそ代謝up!のチャンス」とさせて頂きました。冬の方が痩せやすいって知っていましたか? 副院長・管理栄養士から、それぞれ詳しく解説させていただきます。その後はスポーツインストラクターと一緒に軽く運動しましょう。今回も3本立てです。
”糖尿病教室” は、保険診療適応となります。3割負担の方で、300円程度の費用になります。当院に通院中の患者さんにはお声掛けさせて頂きますが、定期通院のない患者さんでもご自由に参加していただけます。これを機会に当院をのぞいてみてはいかがでしょうか。ご希望の方はご連絡下さい(⇒059-233-0024)。定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。
●第7回 糖尿病教室
・日時:2019年12月12日(木)、12時30分~13時30分
1時間前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:副院長・管理栄養士・スポーツインストラクター 「冬こそ代謝up!のチャンス」
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応)
咳796人、明日の診療を思う
呼春の森診療所が開院して1年が経過しました。そこで私たちの診療を振り返ってみました。咳を主な訴えとして受診された患者さんは796人みえました。当院の受診動機として最も多いものになります。まず、多くの患者さんが咳で困っていることがよくわかりました。そして、私たち呼吸器内科の診療が行き届いていない現状を知り、改めて力不足を実感しました。
さて、咳を訴えて来院された796人の診断の内訳ですが、下記となっています。
当院では、他院の受診がすでに済んでおり、それでも症状が持続するため来院される方が多く、そういった点からは少し偏りのある結果になっているかもしれません。一般には、咳といったら風邪ですよね。咳ぜんそく・気管支喘息が約70%を占めており、アレルギーによる咳が非常に多いとの結果になっています。ここで、約30%はその他の咳、つまりアレルギーによる咳ではない、ということを心にとめなければなりません。
治療方針が大きく異なりますので、アレルギーによる咳とその他の咳を分けて考える必要があります。当院では、①呼気NO検査、②呼吸機能検査、③レントゲンの3点セットを行い、診断するようにしています。①ではアレルギーの有無を、②では呼吸機能への影響を、③はその他の病気の除外を、それぞれ目的としています。なお、原因アレルゲン検索などの採血や胸部CTは必要に応じて追加するようにしています。
私もそうですが、咳が長引くと、けっこうしんどいです。たくさんの患者さんの声も聞いてきました。夜眠れない、会話ができない、仕事ができない、講演ができない、読み聞かせができない、笛が吹けない、コーラスができない、大事な会に出られない、コンサートに行けない、冠婚葬祭で困る、連続すると息ができない、連続すると嘔吐する、咳のせいで肋骨骨折や損傷に至ってしまうケースも20例近くありました。また多くの患者さんは、咳に対する他人の目線を気にされていました。
咳エチケットという言葉があります。インフルエンザなどの感染症で咳をしている場合、マスクをつけるなどして、他人に感染させないようにする対策です。でも、アレルギーで咳が起こっている患者さんにとってはどうなのでしょう? 感染させる危険もないのに、そういう目で見られ、肩身の狭い思いをしています。こういった方がたくさんいることを、私が伝えていきたいと思います。
咳ぜんそくや気管支喘息は、吸入ステロイド薬や抗アレルギー薬の内服で治療を行います。775例に吸入薬を処方しましたが、336例 (43%)は症状が消失し、通院の卒業に至りました。348例 (45%)は治療を行うことで、症状を軽減することができていますが、残念ながら、治療を止めることはできません。アレルギーは病気ではありますが、体質のようなところがあり、個人差や症状の波があり、根本的な治療ができないのがつらいところです。中には全く症状がおさまらない方もみえるのですが、患者さんと一緒に考えながら、根気強く診療していきたいと思います。
治療期間に関しては、実は医学的な根拠が定まっていません。個人の考えとして、①一時的、②季節性、③通年性、④再発性の4群に分けて考えるようにしています。①や②はある程度の期間のみの治療で済むことが多いです。③は残念ながら継続的な治療が必要です。④は程度や頻度によりますが、頻繁に再発するようであれば、③と同様に継続的な治療が必要になります。
また最後に、自己判断で通院を止めてしまった方が91例 (12%)いました。多くは良くなっているものと信じたいですが、再発や増悪、喘息発作への進展につながりますので、とても心配です。一度投げ出してしまった方は、再来院しづらいのかもしれませんが、こちらとしては全く問題ございませんので、またご連絡下さい。一旦卒業できても再燃する場合がありますので、ご連絡下さい。患者さんが思うよりもずっと長い目線で診療しているつもりです。良くなって頂きたいです。
以上、明日の診療につなげたいと思います。
エピペン
エピペンとは、アドレナリン自己注射薬であり、アナフィラキシーがあらわれたときに使用します。症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤であり、使用と同時に救急要請することが重要です。アナフィラキシーの一般論や、症状と対策については別頁をご参照下さい。
まず、どのような人に携帯が望まれるのでしょうか。微量のアレルゲンでアナフィラキシーを誘発する場合、ショックを誘発しやすい食物 (ナッツ類、魚介、牛乳、ソバ、卵、小麦など)がアレルゲンとなる場合、アナフィラキシーを繰り返す場合などが挙がります。また気管支喘息を持病とする場合も危険性が高く、携帯が望まれます。蜂刺傷の場合は、約20%でIgE抗体が産生されると言われており、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチに対するIgE抗体を測定し、陽性であった場合は、やはり携帯すべきだと思います。
それではエピペンを使用すべきタイミングについてです。下記の症状が1つでもあらわれたら使用すべきとされています。
●消化器症状 繰り返す嘔吐、持続する腹痛 ●呼吸器症状 胸が締め付けられる、激しい咳、ゼーゼー、呼吸苦 ●循環器症状 顔面・唇・爪の蒼白、意識障害 |
例えば食物によるアナフィラキシーの場合、発現から心停止までわずか30分とされており、速やかな対応が望まれます。もちろん、もっと急速な場合もあります。実際の注射の手順に関しては下記になりますが、文章よりも動画などの方がわかりやすいですので、こちらもご参照下さい。
① 打つ場所 (ふとももの外側)を確認する ② エピペンのカバーを開けて取り出す ③ 青い安全キャップを外す ④ カチッと音がするまで押しつける ⑤ 抜き取り、オレンジのカバーが伸びていることを確認する ⑥ 注射部位をもむ ⑦ 救急要請する |
最後に保管や管理ですが、いつでもエピペンを注射できるように、日頃からエピペンの適切な管理を心がけてください。特に下記に注意していただきたいと思います。
・自宅では手の届くところに置く ・外出時には携帯する ・携帯用ケースに入れて保存 ・15〜30℃での保存が望ましい ・変色や沈殿に注意する ・期限が切れる前に、再処方を受ける ・期限が切れたら、医療機関で破棄する |
アナフィラキシー (症状と対策)
アナフィラキシーの一般論については、別頁をご参照下さい。さて、前述しましたが、生命に危険を与え得る過敏反応との定義の通りで、アナフィラキシーはアレルギー疾患の中でも最も重篤なものです。全身性にアレルギー症状が出ることが多く、皮膚・粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状がその中心になります。
皮膚症状としては、顔や全身の発疹・紅潮・かゆみがあり、粘膜症状としては、鼻や喉の粘膜の腫れがあり、「急に鼻が詰まった」「首を絞められているようだった」と表現された方もみえ、前兆の一つです。呼吸器症状としては、こちらも粘膜症状によるものですが、気管支粘膜に浮腫が起こります。すると、気道が狭くなるため、咳、ゼーゼー (喘鳴)、呼吸困難となり、窒息に近い状態に陥ります。また循環症状としては、血圧を維持できなくなるため、意識障害、失神などの状態となります。
そして、これらの症状が、数分から数時間以内に起こり、死亡に至ることがあります。
アナフィラキシーの診療において最も大切なことは初期対応になります。発症する場所は選べませんので、対応をイメージしておいていただく必要があります。
① まず状態を確認する。 ② 救急要請する。 ③ エピペンを携帯しているのであれば、筋肉注射する。 ④ 患者を仰向けにして足を高くする。嘔吐するなら横を向ける。 (救急隊) ⑤ 高流量の酸素を投与する。 ⑥ 点滴ルートを確保する。 ⑦ 状態によっては心肺蘇生をする (病院) ⑧ アドレナリン、ステロイド、ヒスタミン拮抗薬などによる救急治療を開始する。 ⑨ 経過観察のため入院。 |
これで終わりではありません。「同じことを起こさせないように対策すること」の必要性を強調したいと思います。1度目は仕方ないが、2度目は防いであげなければなりません。このあたりは救急の先生方とも協力して対策を考えたいと思っています。下記などの問い合わせがこの1年間で20件近くありました。
「入院したけど、今後どうしたらいいですか?」
「アナフィラキシーの原因を調べて下さい。」
「蜂の抗体を調べてもらえますか?」
「エピペンを処方してもらえますか?」
1つ目の対策は、アナフィラキシーの原因の検索です。状況から明らかに原因を特定できる場合もあれば、居酒屋などで複数の食物摂取後の発症など、原因がわからない場合があります。詳しい問診や原因アレルゲン検査により、できる限り原因を調べる必要があり、今後の発症予防につながります。
2つ目の対策は、アドレナリン自己注射製剤である“エピペン”を携帯することです。有事の際には自己注射し、かつ救急要請することで、命の危険を回避することができます。
最後にアナフィラキシーの啓発です。日本アレルギー学会にアナフィラキシー啓発サイトがあり、『アナフィラキシーガイドライン』も公開されていますので、一度ご覧いただきたいと思います。心肺蘇生術と同じように、私たち医療従事者だけではなく、一般の方にも認識してもらっておいた方が、救命率が上昇すると思いますので、ご協力をお願いしたいと思います。
アナフィラキシー (一般論)
日本アレルギー学会のアナフィラキシーガイドラインによると、アナフィラキシーとは「アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危険を与え得る過敏反応」と定義されています。「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」をアナフィラキシーショックといいます。
まず簡単に、アレルギーについて触れたいと思います。アレルギーを引き起こす物質を、”アレルゲン”または “抗原”と呼びます。私たちにとって最も身近なアレルギー疾患は、花粉症ですが、この場合、スギ花粉やヒノキ花粉が ”アレルゲン”になるわけですね。その他のアレルギー疾患としては、蕁麻疹・アトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息などが挙がり、今回のテーマのアナフィラキシーもここに含まれます。
また、アレルギー疾患は、主に眼・鼻・皮膚・口・気管支で起こります。これらの臓器の特徴は、外界と接していることです。つまり外界からのアレルゲンにさらされやすく、トラブルが起こりやすいわけです。眼に入る、鼻に入る、皮膚に接する、食べる、吸い込むことによって、発症してしまいます。
そもそも無害であるはずの物質に対して、どうしてアレルギー反応が起こってしまうのでしょうか。アレルゲン曝露によりアレルギーが生じる状態になることを ”感作 (かんさ)”と呼びます。感作の成立には、①体側の要因、②環境の要因、③感作経路の3つが重要とされています。感作アレルゲンは患者さんによって大きく異なりますが、成人では、花粉、ダニ、ホコリ、食物 (小麦・魚類・甲殻類・果物)、ペット、カビが多いです。
これらのアレルギー反応に関与するのが “IgE抗体”であり、肥満細胞・好塩基球・炎症性物質を介して、アレルギーを起こします。各種アレルゲンに対するIgE抗体を測定することで、「何に対してアレルギーを持っているのか」を調べることができます。これらは、血液検査で、簡単に測定することができますので、アレルゲンを回避するという点において非常に役立ちます。詳しくは原因アレルゲン検査の頁もご参照下さい。
アナフィラキシーの多くは、IgE抗体を介したアレルギー反応により発症します。例えば、1回目蜂に刺される→蜂に対するIgE抗体を獲得する (感作)→2回目蜂に刺される→IgE抗体を介してアナフィラキシーを発症する。このような流れが一般的です。ここで注意が必要ですが、IgE抗体が関与せず発症する場合もあり、薬剤や造影剤などによるアナフィラキシーに代表され、この場合、初回投与でも発症する可能性があります。
さて、どのような人に起こりやすいのでしょう。気管支喘息を持っている人はアナフィラキシーの重篤化の危険が高いとされています。特にコントロール不良例でリスクが高く、普段から喘息のコントロールを心がけましょう。
また運動による誘発にも注意が必要です。食物依存性運動誘発アナフィラキシー (food-dependent exercise-induced anaphylaxis, FDEIA)と呼ばれ、原因食物の摂取または運動のそれぞれ単独では症状は出ないが、双方がそろうとアナフィラキシーが誘発される疾患があります。例えば、小麦を食べる→運動する→アナフィラキシーを発症する。この場合、運動2時間前は原因食物の摂取禁止などの指導をすることで防ぐことができます。
ここまでが、アナフィラキシーの一般論でした。アナフィラキシーの症状と対策については、別頁をご参照下さい。