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アレルゲン免疫療法

“アレルゲン免疫療法” をご存知でしょうか? 近年、舌下薬を用いることができるようになり、”舌下免疫療法” とも呼ばれます。季節性アレルギー性鼻炎 (スギ花粉症) や、通年性アレルギー性鼻炎 (ダニアレルギー) を対象とした治療であり、アレルギーの原因であるアレルゲンを少しずつ体に投与することで、体を慣らして、根本的な改善を期待する治療方法です。現在、”スギ花粉” と ”ダニ” に対する治療が保険適応となっており、その治療指針として、「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」、「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」が日本アレルギー学会からそれぞれ発刊されています。

アレルギーを根本から改善することが期待できるという点で、一般的な薬物療法とは一線を画すものでありますが、まだまだ認知度も低いと思います。主に花粉症の治療方法ですので、耳鼻科での取り扱いが多くなりますが、他の診療科では医師であっても存在を知らないことも多いと思います。よって、積極的に周知していくことも、私たちアレルギー専門医の役目であります。当院では、”” や ”気管支喘息” にて通院されている方が多いですが、約70%に ”アレルギー性鼻炎” を合併しているという背景もあり、こちらに対する治療も併せて行っています。

くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどのアレルギー症状が出ると、日常生活にも影響し、例えば、イライラする・眠れない・集中力や思考力が低下する・疲れやすい・頭痛がする・外出したくない、などの状態となることがあります。アレルゲン免疫療法には、これらの一連の症状や状態に対しての治療効果が期待されます。

診断としては、まず問診により、アレルギー症状、程度、期間、昨年や一昨年はどうであったか、季節による違い、アレルゲンの存在、ご家族のアレルギー歴などを聞き取ります。次いで、各種アレルゲンに対するIgE抗体の血液検査を行います。ここでスギやダニに対するIgE抗体が高値であり、アレルギー性鼻炎の診断が正確になされた場合、アレルゲン免疫療法の治療適応となります。

実際の治療ですが、少量のアレルゲンを含んだ舌下液や舌下錠を、1日1回服用します。少量から開始して、増量し、一定量を数年間 (3-5年が推奨) 継続して服用します。舌下に投与し、しばらく保持したあと飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えるようにします。また服用前後2時間は、できるだけ運動・入浴・アルコール摂取を控えることが望ましく、これらは強いアレルギー反応を起こしにくくするための配慮です。同様に、安全のため、初回のみ院内で服用して頂きます。

副作用に関しては、口内炎、唇・口・のどの粘膜の腫れや不快感、耳のかゆみ、頭痛などの副作用が出ることがあります。またβブロッカーやステロイドを内服中・妊娠中・不安定な重症喘息・全身性の重篤な疾患 (悪性腫瘍・自己免疫性疾患・重症心疾患・慢性感染症など) などの場合、治療を受けて頂くことはできません。

特に当院では、喘息合併例が多いですので、注意が必要です。咳や喘息に対する効果も期待されるのですが、今のところ喘息のみに対してアレルゲン免疫療法を行うことはできません。少量ながらアレルゲンである本薬剤を投与することで、むしろ悪化させてしまう可能性があるからです。一方、喘息とアレルギー性鼻炎の合併例に対しては、喘息が十分コントロールされている場合、アレルゲン免疫療法を導入することができます。

アレルゲンの回避や、従来通りの薬物療法 (抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、点鼻ステロイド薬など) も併用することができますので、患者さんの状態やご希望に応じた治療を選択させていただきたいと思います。

最後に、スギ花粉に対するアレルゲン免疫療法に関しては、スギ花粉の飛散している時期の内服開始はできませんので、ご希望の方はお早めにご連絡下さい。

実際の診療について、詳しくは製薬メーカーのサイトをご参照下さい (⇒ アレルゲン免疫療法ナビ:鳥居薬品株式会社)。

原因アレルゲン検査

アレルギー疾患において、問診や血液検査を行うことで、原因となる物質を同定することは重要なことです。この物質のことを、”アレルゲン” や “抗原” と呼びます。アレルギー疾患といわれてもピンとこないかもしれませんが、身近な存在である花粉症もそうですし、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、そしてアレルギーに関連した気管支喘息アナフィラキシーなどが当てはまります。これらはアレルゲンに曝露することにより、しばしば発症してしまいます。

様々なアレルギー症状でお困りの患者さんが通院されてみえますが、このアレルゲンを同定することにより、アレルゲンから回避することが可能となる場合があります。つまり環境を改善することで、病状を良くすることができます。これらは薬物療法よりも重要なことです。

例を挙げますと、吸入薬や内服薬での治療を行ってもなかなか改善しない気管支喘息患者さん、よく話を聞いてみると、家で犬と一緒に寝ていることが判明したなどの場合があります。この場合は犬がアレルゲンとなっていますが、どんなに薬物療法を強化しても、アレルゲンに曝露し続けていると病状が良くならないわけです。「ペットは家族だ!」といった別の問題点もありますが、アレルギーの原因を断てないと、残念ながら病状はなかなか改善しないということになります。

2018年6月に、日本アレルギー学会から、3年ぶりに改訂され、『喘息予防・管理ガイドライン2018』が発刊されました。ここでも、”喘息の危険因子と予防” の項で、「アレルゲンは喘息症状の重要な増悪因子であることから、アレルゲンを減らすための環境整備が強く推奨される」と明記されています。

さて実際の診療では、まず問診により、何に曝露するとどのような症状が出るのかを聞き取りします。検査よりも、実際に引き起こされてしまう反応の方が、診断根拠としては高いものになります。問診でははっきりしない場合も多く、また予期せぬアレルゲンが見つかる場合もあるため、血液検査による原因アレルゲン検査も併せて行います。

ハチアレルギー検査のページでもお伝えしましたが、これらのアレルギーの病態に関与するのが ”IgE抗体” であり、肥満細胞や好塩基球を介して、アレルギー反応を起こします。IgE抗体が高い場合、アレルギー反応が出やすいといわれています。このIgE抗体は、血液検査を行うことによって、測定することができます。 IgE抗体全体の量 (非特異IgE抗体、RIST)、各種アレルゲンに対するIgE抗体の量 (特異IgE抗体、RAST) を測定します。

各種アレルゲンに対するIgE抗体は、1項目ずつ選択して測定する方法では、13項目までの測定が保険診療で認められています。ただし、”View アレルギー 39″ などの検査キットを用いることで、30種類以上の多くのアレルゲンを同時に測定することが可能となり、費用も13項目分と同額になります。こちらでは項目の選択はできなくなりますが、花粉・ダニ・ハウスダスト・真菌 (カビ)・ペット・食物・昆虫などを、まんべんなく測定することができますので、こちらの方がアレルゲン検索としての意義が高くなる場合が多いです。

費用の問い合わせが多い検査でもありますが、実際にアレルギー疾患がある場合は保険適応となります。前述の通りですが、13項目を選択して測定する場合も、検査キットを用いて30種類以上を測定した場合も、3割負担で、5,000円程度となります。

患者さん自身も、何に対してアレルギーを持っているかを把握しておきたいと思われていることが多く、他の検査に比べても、満足度の高い検査なように感じます。皆さん、熱心に結果説明を受けてみえます。強調しますが、アレルギー疾患において、アレルゲンの回避は最も重要なポイントですので、心に留めて頂きたいと思います。

ダイエット外来

呼春の森診療所では、専門医・管理栄養士・健康運動指導士 (スポーツインストラクター) の、3つの視点から考えたダイエットプログラムである “ダイエット外来” を発足し、これまで約70例の患者さんに行ってきました。一時休止としていましたが、管理栄養士の職場復帰に伴い、プログラムを再開させていただきます。

診療所でできる範囲で、限られた人数に向けた内容にはなりますが、患者さんの健康のことを皆でよく検討した内容となっていますので、ご興味のある方は是非お問い合わせ下さい。個人情報ですので詳細は伏せますが、一定の成果が得られています。なお、本プログラムは美容などの目的はなく、あくまで健康を追及したものとなっています。

メタボリック症候群糖尿病脂質異常症高血圧症高尿酸血症・痛風 などの “生活習慣病” と “肥満” の関連やその重要性については、皆さんよくご存知の通りかと思います。それぞれの疾患のページで詳しく解説していますので、そちらもご覧いただければと思います。

今回は、この “肥満” に注目してみましょう。まず肥満の定義ですが、見た目太っているだけでは、医学的に肥満とはいいません。BMI (body mass index, 体格指数) という指標があり、これを計算することで、肥満かどうかを判断します。BMIが25以上の場合、「肥満」と定義されます。一度計算してみて下さい。

● BMI : 体重 (kg) ÷ 身長 (m) ÷ 身長 (m)

さらに、こちらはご存じない方も多いかと思いますが、 「肥満症」 という言葉があります。肥満に加えて、次の①または②のような状態である場合をいい、ただの肥満とは異なり、ここでは “病気” の扱いとなります。ここを改善していく必要があります。逆に言うと、肥満症に該当する患者さんが、本プログラムの主な対象者になり、概ね保険診療の対象にもなります。

● 肥満症 : 肥満 (BMI 25以上) + ① または ②

① 糖尿病、耐糖能障害、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患 (狭心症・心筋梗塞)、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群、肥満性低換気症候群、脂肪肝、月経異常、妊娠合併症、整形外科疾患、肥満関連腎臓病

② 腹囲:男性85㎝以上 女性90㎝以上

実際の流れですが、まず初診時に、専門医の診察を受けていただきます。副院長が担当しますので、診療時間のページもご参照下さい (休診:木曜午後、金曜午前)。問診や診察に加えて、生活習慣病を念頭に置いた血液検査や尿検査を受けていただきます。ここで病気が見つかった場合は、当然ながら通常の内科診療を受けていただくことになります、そして、月1回のダイエットプログラムを並行して受けていただく形となります。

さて、そのダイエットプログラムですが、栄養指導と運動療法はまとめて、毎週木曜日の午後、1日限定3枠 (月12枠)で行います 。栄養指導と運動療法は、それぞれ20分前後を予定し、月1回、全6回 、約半年間を目標とした内容になっています。

管理栄養士からは、Inbody (体組成計)により計測された、筋肉量や脂肪量のデータをもとに、肥満の改善に重点を置いた栄養指導をさせていただきます。健康運動指導士からは、院内での実技指導はできませんが、聞き取りを行うことで、患者さんの運動能力に差があることを考慮した個別のプログラムを提供させて頂きます。生活習慣の中で運動を取り入れることによって基礎代謝が高まり、脂肪燃焼の促進につながり、その結果リバウンドを回避することが可能です。

薬物療法としては、基本である食事・運動療法の補助として、これまで漢方薬を使用することがありましたが、2024年4月に肥満症に対して、保険適応でGLP-1受容体作動薬(注射薬)が使用できるようになりました。しかし、指定病院での使用が義務付けられており、当院では処方することができません。GLP-1受容体作動薬の保険使用に関しては指定病院での半年間の食事療法が必要であり、すぐに誰でも使用できるわけではありませんのでご注意ください。

費用に関しては、栄養指導は保険適応となる場合、初回 780円、2回目以降 600円(3割負担の場合)、運動療法は自由診療になりますので、1回 1,100円とさせていただきます。なおInbodyの費用は含まれます。

患者さん自身の一生にわたる課題であり、ご自身に向き合うこと、前向きな姿勢が何より重要です。お薬の処方だけが治療ではありません、私たちはこういった点からもサポートをさせていただく立場であると思います。一緒に頑張ってみませんか。お気軽に、お問い合わせ下さい。

2025.7.8更新

健診で異常を指摘されたとき

7月から特定健診やがん検診が始まっていますが、異常を指摘された場合、どうされていますでしょうか?

健診結果についてですが、異常を指摘された、つまり要精密検査や要治療に該当した場合ですが、当院で、さらなる精密検査や専門的な診療を受けて頂くことができます。

そもそも、特定健診とは、40歳以上75歳未満の被保険者全員に、メタボリック症候群糖尿病などの生活習慣病の発症を予防することを目的に発足した制度です。生活習慣病の該当者や健康を害する恐れのある予備群を減少させることが目的とされています。

特に当院では、糖尿病メタボリック症候群脂質異常症などについて、専門医による診療を受けて頂くことができます。特定健診により、生活習慣病やその予備軍に該当した場合でも、その場限りの対応ではなく、その時に適したアドバイスや、その後の管理も含めて、対応させていただきます。

また、特に肺がん検診で異常を指摘された場合は、診断や治療に急を要すこともあります。当院では、ご来院同日に、直ちに胸部CTを施行し、一緒にCT画像を見ながら、専門医から結果を説明させて頂くことができます。

肺がん検診では、肺がんだけではなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)慢性肺感染症(肺結核症、非結核性抗酸菌症、肺真菌症、気管支拡張症)間質性肺炎などが発見されることも多く、その評価を行うこともできます。

仮に肺がんの疑いが強まった場合など、より高度な精査を受ける必要がある場合は、責任を持って、大学病院や基幹病院などに紹介させて頂きます。

医師の見落としばかりが報道される昨今ですが、せっかく受けられた健診結果を患者さんが放置し、重篤化してしまうケースはそれ以上に経験しますので、是非よろしくお願いします。当院が “きっかけ” になれればと思います。

第2回 糖尿病教室

当院では、糖尿病の予防・管理・治療意欲の向上などを目的として、定期的に ”糖尿病教室” を開催しています。医師・看護師・管理栄養士など、様々な職種からお話しさせて頂きます。季節にあったもの、話題になっていることなど、様々なテーマを取り入れたいと思います。

また当院には、スポーツインストラクターが勤務しており、スポーツジムなどでの豊富な指導歴があります。スポーツインストラクターが勤務しているクリニックは、なかなか見当たらないと思いますし、せっかくの機会ですので、一味違った運動療法を受けてみてはいかがでしょうか。第1回の「続けたくなる運動療法」はとても好評でしたので、今回、第2回はもう少し長く時間をとりたいと思います。運動しやすい服装でお越し下さい。

なお、”糖尿病教室” は、保険診療適応となります。3割負担の方で、300円程度の費用になります。当院に通院中の患者さんにはお声掛けさせて頂きますが、定期通院のない患者さんでも参加していただけますので、ご希望の方は当院までご連絡下さい(⇒059-233-0024)。定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。

●第2回 糖尿病教室
・日時:2018年9月27日(木)、12時30分~13時30分
 1時間前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:看護師・管理栄養士・スポーツインストラクター 「災害への備え」
 スポーツインストラクター 運動療法
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応) 

夏、ダイエット外来

あっという間に夏になりました。のうぜんかずらの盆栽も花を咲かせています。

花が咲く前からアリたちが集まっていましたが、アリは太らないのかななんて思います。

夏、ダイエット外来の始動を検討中です。まず、院長から…。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気のことです。年齢を重ねると、骨の量は減っていきますが、特に女性は閉経期を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンが欠乏するため、急に骨の強度が落ちてしまいます。その結果、骨折しやすくなり、ちょっとつまずいて手や尻もちをついただけで骨折してしまい、歩行困難、腰痛、腰の曲がり、背の縮み、寝たきり状態になるなど、後遺症を来すこともあります。

日本骨粗鬆症学会から『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015』が発刊されており、これに従って診療します。現在、高齢化に伴い骨粗鬆症患者は増加しており、約1300万人と推定されており、特に65歳以上の女性では、約半数近くが骨粗鬆症にかかっているといわれています。

骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴としますが、骨強度は、”骨密度と骨質”の2つの要因によって規定されています。骨強度に関して、70%が骨密度、30%が骨質に影響されるといわれています。これらは、加齢、エストロゲンの不足、骨形成の低下、骨破壊の亢進、ビタミンD・Kの不足、生活習慣病など、多岐の要因によります。

骨粗鬆症が骨折の最大の危険因子であることは広く知られていますが、特に大腿骨骨折など、下肢の骨折は生活の質を著しく落とすものであり、また年齢を重ねてから骨折すると改善やリハビリに時間を要すなど、さらに不利益が加わってきます。骨折を機会に寝たきり状態になるなど、認知症の発症や、結果的に命に関わってくることもあります。骨粗鬆症自体には自覚症状はありませんので、骨折の予防のために、診断と治療を要すると言えます。

さて、その診断ですが、問診や診察に加えて、骨密度を評価することで、その診断とします。当院ではMD法といい、レントゲンを使って、手の骨を評価します。専用のアルミニウムスケールを用いて、骨とアルミニウムの濃度を比べることによって測定します。簡単に測定することができます。

骨粗鬆症は、薬物療法が中心になりますが、糖尿病脂質異常症と同じように、食事療法や運動療法、いわゆる生活習慣の改善が重要です。

食事療法としては、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKのバランスの良い摂取が望まれます。摂取を推奨される食品として下記があります。一方、塩、カフェインを含む食品 (コーヒー、紅茶)、アルコールの過剰摂取は控えるように心がけましょう。

・カルシウム : 牛乳、乳製品、小魚、大豆など
・ビタミンD : 魚類、きのこ類など
・ビタミンK : 納豆、緑色野菜など

続いて運動療法ですが、運動することで骨密度は上昇するといわれています。またもう一つの目的としては筋力をつけることです。筋力をつけることでも運動機能を高め、転倒を回避でき、結果的に骨折の予防につながります。週に2-3回以上のウォーキングや筋力訓練が有用です。

最後に薬物療法ですが、大きく3つの種類にわかれます。

・骨吸収抑制薬 : 骨吸収 (破壊)をおさえる
・骨形成促進薬 : 骨形成をうながす
・カルシウム製剤 : カルシウムを補う

多くの骨粗鬆症の治療薬が登場し、病状や病因だけでなく、患者さんの生活スタイルにあわせた方法を選択し、治療できるようになりました。1日1回、週1回、月1回など、服用間隔が選択でき、また点滴/注射製剤もあります。

ここで、どの病気の治療でもそうですが、”服薬遵守 (ふくやくじゅんしゅ)”という言葉があります。スケジュールを守って、きちんと定期的に服薬することを意味しますが、自覚症状がない疾患や慢性疾患では、一般的にだんだん服薬を守れなくなってきます。特に骨粗鬆症では、治療開始後1年で45%が処方通りに内服できなくなり、5年以内に52%が脱落すると、海外から報告されています。

まず病気を理解して頂くことが前提で、信頼関係があって、初めて治療は継続・成功するものと思います。40歳をすぎたら骨密度の検査を行い、早めの対策をしましょう。

高尿酸血症・痛風

かつて、痛風は「ぜいたく病」と言われていました。しかし近代においては、食生活の欧米化やアルコール摂取率の増加に伴い、ありふれたものになっています。尿酸が高いことにより起こる病態ですが、健康診断などの血液検査で尿酸値を目にすることも多くなっています。では、なぜ尿酸値が高いといけないのでしょうか?

日本痛風・核酸代謝学会の『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版』に従って診療します。まず定義ですが、尿酸値が7.0mg/dlを超えたら「高尿酸血症」と呼びます。しかし、”健康診断で尿酸値が高いことを指摘された、でも症状はない” という方が多いと思います。症状を自覚しないので放置してしまいがちですが、このような状態でも長く続くと、さまざまな合併症が引き起こされてしまいます。

痛風、腎障害、痛風結節、尿路結石などがその代表であり、特に、”痛風発作” を来すと激痛となり、「風が吹いただけでも痛い」などと言われるくらいです。足の親指の付け根に起こることが多く、足の甲、足首、膝、手首、肘などにも起こります。これらは尿酸が結晶化することで、あちこちに沈着するために起こるわけですが、関節に沈着すると痛風発作 (関節炎)、腎臓に沈着する腎障害 (痛風腎)、皮下に沈着すると痛風結節となります。また尿路結石は、尿が酸性になることにより起こるとされます。

また最近は、生活習慣病との関連が話題となっています。高尿酸血症は、糖尿病メタボリック症候群脂質異常症高血圧症などと関連があるといわれており、尿酸値が上昇するにつれてメタボリック症候群の頻度は高くなるとされています。動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることがわかってきています。

尿酸値を下げるには、食習慣の改善、薬物治療が必要です。食習慣の改善とは具体的には、下記などになります。

・プリン体の摂取を控えること
・アルコール摂取を控えること
・アルカリ性食品 (野菜、海藻、果物など)を摂取すること
・十分な水分摂取 (1日2L以上を目安に)

当院では管理栄養士から、より詳細に栄養指導を受けて頂くことも可能です。その他の生活習慣病の合併も多く、その予防のためにも、カロリー制限や運動療法も重要です。それでも改善しない場合は、薬物療法になります。

治療のきっかけとしては、”健康診断などで尿酸値高値を指摘された”、もしくは、”痛風発作を来してしまった”、が多いのではないでしょうか。ちなみに、薬物療法導入の基準に関しては下記になります。

① 尿酸値が 7.0 mg/dl以上で、痛風発作や痛風結節がある
② 尿酸値が 8.0 mg/dl以上で、合併症*がある
③ 尿酸値が 9.0 mg/dl以上である
*腎障害、尿路結石、高血圧症、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリック症候群

治療目標は6.0 mg/dl以下であり、継続的な治療が必要になります。痛風発作を来した場合は、まず鎮痛薬 (非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬)で、痛風発作の治療を行います。関節炎が治まってから、尿酸値を下げる治療を開始しますが、これは尿酸値が急激に下がると、逆に痛風発作が引き起こされてしまうことがあるからです。

痛風発作が治まれば、安心してしまいがちですが、その後、尿酸値をゆっくり下げてあげることが、体にとって大事なことであり、治療の本筋といえると思います。健康診断等で指摘された方、尿酸値がご心配な方は、お気軽にご相談下さい。

高血圧症

血圧は、測定器があれば自宅でも簡単に測定できる身近なものであり、健康診断などを機会にほとんどの方は測定したことがあるかと思います。生命に危険が迫っているのかどうかを判断する指標をバイタル (vital=生命) サイン (sign=徴候) といいますが、その一つでもあります。

さて血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管壁を押す力のことです。心臓が収縮し、全身に血液を送り出す際の最も高い血圧を ”収縮期血圧 (いわゆる 上の血圧)”、心臓が拡張し、心臓に血液が戻るときの最も低い血圧を ”拡張期血圧 (いわゆる 下の血圧)” といいます。この収縮期血圧が140mmHg以上、又は拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧といいます。

日本高血圧学会から発刊されている『高血圧治療ガイドライン2014』によると、日本の高血圧者数は、約4300万人といわれ、人口の3人に1人になります。血圧が高くなるほど、心血管病、脳卒中、慢性腎臓病などのリスクが高くなり、高血圧に起因する死亡者数も年間10万人と推定され、喫煙に次いで多いとされています。

高血圧の原因については、原因が特定できない ”本態性高血圧” が約90%、原因が特定できる ”二次性高血圧” が約10%程度です。本態性高血圧は、塩分・肥満・喫煙などの要因はさまざまで、食事・運動療法などの生活習慣の改善が重要とされています。一方、二次性高血圧の中では ”原発性アルドステロン症” が多く、副腎から分泌されるアルドステロンというホルモンの過剰分泌で起こる病気です。原発性アルドステロン症であれば、アルドステロン拮抗薬による薬物療法や、副腎摘出術で完治できる可能性もあります。

続いて、血圧測定と診断ですが、まず ”診察室血圧”、”家庭血圧” という言葉があります。名前の通りですが、前者は病院で測定する血圧、後者は自宅で測定する血圧を意味します。「診察室血圧 ≧140/90mmHg、家庭血圧 ≧135/85mmHg」で、高血圧と診断が確定されます。当院でもそうですが、初めての場所に来たり、医師の診察を受けるだけで血圧が上昇してしまうこと (白衣高血圧) もよくありますので、家庭血圧の診断を優先します。ですので、血圧日記をつけていただくわけです。

家庭血圧は、朝・晩に、それぞれ測定するのが原則で、可能であればそれぞれ2回ずつ測定して平均を出すとよいとされています。測定条件としては、①朝は 朝起床後・排尿後・朝食前に・1-2分の安静後に、②晩は 就寝前に、いずれも静かな環境で、測定してください。血圧計に関しては、現状では手首型のものよりも上腕型がよいと、ガイドラインには記載されています。一家に一台、血圧計を用意して、ご家族で血圧を管理していただくのはいかがでしょうか。

高血圧の治療で最も重要なのは ”生活習慣の改善” です。もちろん血圧の程度、臓器障害や合併症、危険因子の程度によっては、早期から降圧薬による薬物療法となりますが、やはり基本は食事療法、運動慮法です。降圧目標は140/90mmHg未満であり、また糖尿病や慢性腎臓病がある場合は130/80mmHg未満となります。高血圧が持続することによる心血管病の発症や再発をおさえ、命にかかわってしまうことを減らすとが治療目的であり、健常者とかわらない日常生活を送ることができるように管理させていただきます。

糖尿病教室

当院では、糖尿病の予防や糖尿病と上手にお付き合いできるように、定期的に ”糖尿病教室” を開催します。医師・看護師・管理栄養士など、様々な職種からお話しさせて頂きます。季節にあったものや、話題になっていることなど、様々なテーマを取り入れたいと思います。

また当院には、スポーツインストラクターが勤務しており、スポーツジムなどでの豊富な指導歴があります。スポーツインストラクターが勤務しているクリニックは、なかなか見当たらないと思いますし、一味違ったお話ができるかもしれません。糖尿病と運動療法、せっかくの機会ですので、実際の運動方法についても、”糖尿病教室” を通して、お伝えできればと思います。

「健診で血糖値が高いと言われた」、「HbA1cが高いって言われた」、「家族が糖尿病で自分は大丈夫かしら」、「最近体重が増えた」、「運動不足である」、「ダイエットしたい」、「糖質制限って何?」、「糖尿病にいい食べ物と悪い食べ物って何?」など、きっかけは何でも結構です。なるべくわかりやすく、普段の生活に生かせるような内容でお伝えしたいと思います。

どなたでも参加できますので、ご家族・ご友人などと、是非一度ご参加下さい。糖尿病や合併症、予防や治療などの知識を深め、一緒に解決していきましょう。

なお、”糖尿病教室” は、保険診療適応で受けて頂けます。3割負担の方で300円程度の費用になります。参加をご希望の方は、当院へご連絡いただくか、来院時にスタッフまでお声掛け下さい。毎回、定員は15名までとなりますので、お早目にお申込み下さい。

●第1回 糖尿病教室
・日時:2018年7月12日(木)、13時~
 45分前後を予定します(14時から午後診のため)
・場所:おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春の森診療所 待合室
・内容:副院長 「糖尿病 ~夏に気を付けたいこと~」
    管理栄養士 「甘いものが好きな方へ ~砂糖と血糖値の関係~」
    スポーツインストラクター 「続けたくなる運動療法」
・持ち物:保険証、当院診察券・糖尿病連携手帳(お持ちの方)
・費用:300円程度(保険診療適応)