久しぶりに本格的に書いてみました。長引く咳についてです。開院1年時点で「咳796人、明日の診療を思う」という記事を書きましたが、今回は開院7年経過し、これまでを振り返ってみました。みえてきたことも、みえないこともあります。
咳を主訴として来院された方は7739人でした。診療数を自慢するような記事はありがちですが、そのようなつもりはありません。咳で困っている方が非常に多いです。おそらく90%以上の方はよくなっていますが、慢性化している方や、中には全くよくならない方もいます。治療脱落して咳が再燃する方も多くいますが、どのような状況でも咳でお困りであれば、再度ご連絡下さい。咳のない生活で患者さんそれぞれに社会に貢献してもらう、それが私たち呼春の森診療所の目標です。

まず長引く咳の原因についてですが、ぜんそく60%、ぜんそく以外40%の結果となっています。ぜんそく以外の原因が40%もあることが重要ですね。その他の疾患の除外が必要であり、つまり見落としのないよう注意しなければなりません。

では、ぜんそく以外40%の内訳をみていきましょう。当然ながら、急性上気道炎・肺炎・副鼻腔炎・慢性下気道感染症などの感染症が多いですね。当院は風邪が治らないと来院される特殊な場所ですので、これでも一般と比べると感染症の割合が少なくなっています(風邪よりぜんそくの方が多い!)。その他、稀な疾患や予想外の疾患もずらっと並んでいますね。症状や診察だけで判断するのではなく、レントゲンや必要に応じてCTを撮影することも大切です。

ついで「喘息キーワード集」としてぜんそく60%における患者の皆さまの声をひろってみました。私が最も大切にしているもので、どの講演でも強調して話します。たくさん診療すると、異なる患者さんが同じことを言われることが多くなってきます。皆さまも思い当たる節があるのではないでしょうか。このようなキーワードがあると、おのずと診断がぜんそく側に寄ってきますね。

そして「咳で困ること一覧」です。精神的にも堪えますし、身体的にも苦痛を伴います。例えば最近では毎月数人は、強い咳のために肋骨骨折しています。ここ数年の感染症の流行も影響しており、人目を気にされる方も多いですね。少なくとも私の前では咳をしてもらって構いません。そして『したくないときに限って出てくる』これが最も多い意見ですね。興味深いですが、医学だけでは説明できない何かがあるはずです。

最後に、この7年で変わったことは、①ぜんそく治療として、特に好酸球を標的とした抗体製剤に手ごたえを感じること、②咳過敏症候群という言葉が使われるようになってきたことです(咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 第2版 2025)。治療抵抗性の咳、説明のできない咳といったいわゆる難治性慢性咳嗽に対する新薬も登場し、味覚障害の副作用があるのも事実ですが、1人でも助かる方がいるのであれば使っていきたいですね。
以上長くなりましたが、最新の医学だけでなく、皆さまの声が私たちの診療の根幹であり、その紹介でした。一人一人ゆっくりお話ができなくなりさみしいですが、多くの人に診療を届けないといけないという思いもあります。本当は皆さまの日々の生活も垣間見えるとより診療意欲につながるのですが、医療は少しのお節介くらいがちょうどいいと思っていますので、このあたりで。今日も明日も頑張ります。
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