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ハチアレルギー検査

山間部に出入りする職業の方から問い合わせをいただいています。当院で、”ハチアレルギー検査” を受けて頂くことができます。

ハチに刺されて亡くなる人がいることは皆さんご存知かと思います。ではなぜそのようなことが起こるのでしょうか。ハチに刺されると、ハチ毒が体内に入りますが、ハチ毒そのものが生体に悪さするわけではありません。生体内でハチ毒に対しての強いアレルギー反応が起こり、アナフィラキシーという病態が引き起こされてしまいます。

アナフィラキシーとは「アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過敏反応」と定義されており、血圧低下や意識障害を伴う場合を、アナフィラキシーショックといいます。ハチ毒に限った病態ではなく、私たち医療従事者は、抗癌剤や抗生剤など、医薬品でのアナフィラキシーの発症を経験します。詳しくはアナフィラキシーの一般論症状と対策の頁をご参照下さい。

このアナフィラキシーの病態に関与するのが ”IgE抗体” であり、肥満細胞や好塩基球を介して、アレルギー反応を起こします。IgE抗体が高い場合、アレルギー反応が出やすいといわれています。このIgE抗体は、血液検査を行うことによって、測定することができます。 IgE抗体全体の量 (非特異IgE抗体、RIST)、スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチのそれぞれに対するIgE抗体の量 (特異IgE抗体、RAST) の4項目を測定します。

ここで注意がありますが、IgE抗体が陰性であった場合でもアナフィラキシーが起こることがあります。だからといって、測定自体が無意味ということではありません。問診により、アレルギー疾患 (アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー結膜炎、蕁麻疹、花粉症喘息など) の有無や、食物や薬剤、特にハチに対する刺傷歴やアレルギー歴の有無を確認し、IgE抗体の測定結果を組合すことによって、対策がとれます。アナフィラキシーの既往のある方や、発現する危険性が高いと判断した方に対して、“エピペン” という、携帯型のアドレナリン自己注射製剤を、前もって処方することができます。

林業や木材製造業従事者の40%、電気工事従事者の30%が、ハチ毒IgE抗体が陽性といわれています。ハチに刺される危険性のある方は一度測定されてはいかがでしょうか。

費用に関しては、蜂に刺されたことがある場合は保険適応になりますので、一般診療とそれほど変わりありません。一方、山間部に出入りする職業の方など、予防のために測定する場合は、医療保険対象外のため、高額になってしまいます(診察費、検査費、郵送費、税込みで 10,000円)。ご希望の方はお電話でお問い合わせ下さい。

胸部CT検診

当院では、”胸部CT検診” を受けて頂くことができます。

主な目的は、肺がんの早期発見になります。多くの肺がん患者さんを診療してきましたが、健康診断で発見された例と、自覚症状が出てから診断に至った例では、肺がんの進行(病期:ステージ)に違いを感じます。つまり、疼痛が出る、喀血する、息が苦しいなどの自覚症状が出てから検査を受け、診断に至った場合は、やはり進行していることが多いです。逆に言うと、ある程度進行しないと、自覚症状が出ないということです。

一般的な肺がん検診はレントゲンでの評価になりますが、より早期に、より詳細に、診断しようと思うと、CTが必要になります。またCTでは、肺がんだけではなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)慢性肺感染症(肺結核症、非結核性抗酸菌症、肺真菌症、気管支拡張症)間質性肺炎などの早期発見やその評価も同時に行うことができます。

CTのデメリットとしましては、やはり放射線被ばくになります。当院では最新のマルチスライスCTを導入していますので、高画質を保ったまま、被ばく線量も大幅に低減し(最大75%減)、安全面にも配慮された検査となっています。

一般的にCT検診では、後日結果郵送の形をとることが多いと思いますが、結果を見てもわからないことも多いのではないでしょうか。当院では、検査同日に、肺がんやその他の疾患の有無を、一緒に画像を見ながら、専門医から説明させていただきます。

費用に関しては、撮影費・診察費・税込みで、9,000円です(自由診療となるため)。健康診断などでレントゲンで異常を指摘されている場合や、自覚症状がある場合などは保険診療になります。ご希望の方はお電話でお問い合わせ下さい。

特定健診

当院の開院が2018年5月14日でしたので、手続きが遅れておりましたが、当院でも7月からの “特定健診” を受けていただくことが可能になりました (一部健康保険によっては遅れる可能性はあります)。実施可能施設一覧などには掲載されておりませんが、受診して頂けますので、今回はそのご案内になります。

さて、”特定健診” とは、40歳以上75歳未満の被保険者全員に、メタボリック症候群糖尿病などの生活習慣病の発症を予防することを目的に発足した制度です。生活習慣病の該当者や健康を害する恐れのある予備群を減少させることが目的とされています。

特に当院では、糖尿病メタボリック症候群脂質異常症などについて、専門的な診療を提供することができます。”特定健診” により、生活習慣病やその予備軍に該当した場合でも、その後の管理も含めて対応できますので、より安心して頂けるかと思います。

対象者には、年1回、”特定健診” を受けるための受診券が発行されますので、ご持参の上、ご来院下さい。

また、がん検診 (肺、大腸、前立腺、肝炎ウイルス) も行いますし、その他の個人や企業などの一般健診や、胸部CT検診も行っております。ご希望の方はお問い合せ下さい。

恵みの雨

本日、内覧会を終えることが出来ました。
お足元の悪い中、大変多くの方にご出席いただきました。
ご協力頂きました皆様も含め、誠にありがとうございました。

さて、雨は記憶を強くしてくれるものです。
そして、樹木たちは、明日の開院に向けて、
コンディションを整えてくれていることでしょう。

私たちも負けないよう、努めます。
それでは、宜しくお願いします。

スタッフ研修

いよいよスタッフ研修が始まり、1週間が経過しました。あっという間に打ち解けて、それぞれのキャラクターが見えてきました。一言、みんな元気すぎます(笑)。

ちなみに、医師2名、事務5名(スポーツインストラクター兼務)、看護師3名、診療放射線技師1名、管理栄養士1名です。よろしくお願いします。

組子の由来

当院の受付には、2つの組子が並べてあります。その由来を紹介します。

●『麻の葉』 ”子供の健やかな成長の願い 魔除け” (上段)
●『胡麻』 ”栄養を感じ、健康と長寿を祈る” (下段)

それぞれの意味を持っています。呼春の森診療所にもそういう理念というか、思想を持たせたいと思っています。病気も何事もそうですが、現時点でいいだけでは不十分で、未来もそうであることを考えるべきです。

また、一般に受付は病院名などを記載することが多いですが、患者さんに病院に来ていることを少しでも忘れていてほしい、という私の想いもありますので、控えさせていただきました (定められた掲示物などの基準は満たしております)。

造園に思うこと

スタッフも決まり、建物も概ね終了し、机や椅子の搬入も終わりました。電子カルテと医療機器が加われば、いよいよ研修と試運転になります。

現在は、造園の真っ只中です。さざれ石が据えられ、様々な樹木が並びます。職人のこだわりも凄いものがあり、仕上がってくる庭にも感動しますが、それよりも師と弟子との関係性に刺激を受けています。指導する側も、受ける側も、常に本気で、男達がうらやましいです。

井上剛宏先生(植芳造園)は、患者さんに喜んでもらえるようにと、いつもおっしゃっています。こっちまで、背筋が伸びます。

土・日・祝が休みであるということ

当院は、土・日・祝を、休診とさせて頂きます。子供たちの未来のことを考えてそうしました。子供たちの休みにあわせています。

世の中が窮屈になってしまっていることは皆さん感じられているものと思います。声の大きな者が目立ち、ネットによる誹謗中傷、過度な責任追及などが世にあふれ、最近は自然災害までも誰かのせいになってしまいます。これからもエスカレートしていくことが予測され、子供たちはさらに窮屈な未来を過ごすわけです。

大切なのは、私達大人がたくさん接してあげて、いろんなことを共有して、エネルギーをやしなってあげることではないでしょうか。私達、スタッフ、患者さんの周りにも、たくさんの子供たちがいます。土曜日に仕事するくらいなら子供と遊んであげてほしい、土曜日に通院するくらいなら孫に会いに行ってほしい。私なりの希望です。

病気が良くなることは大事なこと、その先にある幸せはもっと大事なこと。そういう点も考慮できる診療所にしたいものです。

脂質異常症

健康診断などで採血を受けると、以下の4つの結果が手元に届きます。脂質に異常があっても、自覚症状がないことがほとんどであるため、この採血結果を見て、脂質異常症を診断することになります。自覚症状が乏しくても、治療を受けないといけないのでしょうか。

・総コレステロール (T-Cho)
・中性脂肪 (トリグリセライド、TG)
・HDLコレステロール (善玉コレステロール、HDL-C)
・LDLコレステロール (悪玉コレステロール、LDL-C)

日本動脈硬化学会の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012版』によると、脂質異常症の診断基準は以下とされています。

① LDL-C 140mg/dL以上 ⇒高LDLコレステロール血症
② LDL-C 120-139mg/dL ⇒境界域高LDLコレステロール血症
③ TG 150mg/dL以上 ⇒高トリグリセライド血症
④ HDL-C 40mg/dL未満 ⇒低HDLコレステロール血症

ここで、以前は ”高脂血症” と呼ばれていましたが、LDL-CやTGは高いことが問題であることに対し、HDL-Cは低いことが問題であるため、近年は ”脂質異常症” と呼ばれるようになりました。

さて、病態に話が移ります。実はコレステロールは、ホルモンの材料になるなど人体には欠かせないものでもあるのですが、その一方で、過剰になると血管にダメージを与えます。特にLDL-Cは ”悪玉” と呼ばれ、血管の壁にコレステロールを蓄積し、動脈硬化を進行させます。その結果、血管が狭くなり、場合によっては血管が詰まってしまいます。

当然ながら血管は全身にありますので、どの臓器の、どの血管が、障害を受けるかによって、引き起こされる症状や病態が異なってきます。例えば、脳の血管では脳梗塞、心臓の血管では狭心症や心筋梗塞を引き起こします。大きな後遺症を残したり、命に関わることもあります。自覚症状が乏しくても、これらの発症予防のために、治療を受けないといけないわけです。

脂質異常症は ”油の取りすぎ” をイメージするかもしれません。もちろん食生活が影響することもありますが、生まれつきの家族性高コレステロール血症 (遺伝子変異による) や甲状腺機能低下症などによる続発性の脂質異常症もあり、これらは原因の治療をしない限り、脂質異常症は改善しません。

日本では約500人に1人の割合で、家族性高コレステロール血症を発症します。これまでの薬物療法でのコントロールが難しく、若年であっても、心血管疾患を引き起こすなど、問題となっていました。血液透析により、血管内のコレステロールを取り除く治療 (LDLアフェレシス) が必要でしたが、2016年1月にPCSK9阻害薬が承認され、その定期的な皮下注射により、LDL-Cのコントロールが可能になってきました。

一般的には、脂質異常症は、下記のような ”生活習慣の改善” が有効とされます。つまり食事療法、運動療法ですね。

・禁煙し、受動喫煙を回避する
・過食を抑え、標準体重を維持する
・肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす
・野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす
・食塩を多く含む食品の摂取を控える (6g/日未満)
・アルコールの過剰摂取を控える (25g/日以下)
・有酸素運動を毎日30分以上行う

生活習慣の改善や、食事療法、運動療法でコントロールができない場合は、スタチン (HMG-CoA還元酵素阻害薬) などによる薬物療法を行います。定期的に採血をすることで、その効果を確認します。また、薬による副作用をご心配な方もみえるかもしれません。特に ”横紋筋融解症” といい、筋肉に障害が及ぶことがあります。これは採血により、クレアチンキナーゼ (CK) という値を測定することが可能ですので、効果と一緒に確認させて頂きます。

心血管疾患の予防という点で、共通することが多いですので、糖尿病メタボリック症候群高血圧症睡眠時無呼吸症候群禁煙外来の投稿もご参照下さい。